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2022年03月25日13:01

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坂井孝一著「鎌倉殿と執権北条氏」を読んで



照る日曇る日第1725回

「義時はいかに朝廷を乗り越えたか」なる副題が付いているが、別に北条義時を主人公にしたお話という訳でもなく、源家を乗り越え、後鳥羽上皇を乗り越えて、本邦に冠たる鎌倉幕府を構築した北条一家礼讃の物語というところだろうか。

ともかく全体的にハイライトがなく、散漫なトピックスを駆け足でばら撒いている感じで落ち着かないが、頼朝の後継者である頼家や実朝の力量を正当に見積もっているのは、大賛成である。

「鎌倉殿の13人」という名前が、頼家のイニシアチブを無化した円卓政府のように受け取られる誤解を正しているのにも好感が持てるが、私はこの13人衆は、懸案を頼家に上上程する権限だけを持っていたとする、著者以外の学者の説に賛同する。

比企家と結託して北条一味を排除しようとしていた頼家が、降ってわいたような急病に襲われ、生死の境をさまよっている間に、時政のクーデタで比企一族を謀殺されてしまうが、私はそもそもこの「急病」自体がでっち上げで、時政・義時・政子親子が比企謀殺を実行するために、頼家を人質にしたのではと秘かに想像している。

ひとり政子が、実子の悲運に泣いて同情したなどと、「吾妻鏡」が盛り上げるのも、カモフラージュの為だろう。

実朝がイニシアチブをとり、後鳥羽上皇とタッグを組んで安定した朝廷武家協同権門体制を構想し、それが実現一歩手前であったとする著者の分析は鋭いが、それが完成してしまえば、北条鎌倉幕府はついえる。

よって実朝暗殺の背後にいたのは誰か、は自明だろうに、著者があくまで公暁単独犯説に組する理由が分からない。

「ロシア莫迦」「くたばれプーチン」とかとかとか 殺されずに言える自由は素敵だ 蝶人


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