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2022年03月20日09:03

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磯貝勇著「丹波の話」を読んで

照る日曇る日第1721回


昭和31年に東京銀座の東書房から出版された丹波の郷里の本である。

渋沢敬三が主宰する常民文化研究所の同人でもあった民俗学者の著者は、長く丹波の地方都市、綾部に住んで、同地とその周辺の丹波地方の村落の言語風習地理動植物天文生活文化生態を隅々まで調査研究し、その成果の一端を本書で世に問うたのだった。

内容は「丹波語彙」、「由良川紀行」「由良川風土記」「綾部の話」「丹波の燈火」「丹波・丹後の星」からなっているが、丹波盆地を貫流して日本海にそそぐ大河、由良川の源流を尋ねる「由良川紀行」はスリリングな冒険譚である。

私の祖父、佐々木小太郎などの古老に取材した労作「綾部の話」は、私が生まれ育った綾部の老舗下駄屋「てらこ」の地図や来歴まで登場する懐かしい読み物で、もはやボロボロになってしまったこの本のページを繰るたびに、私の心は懐かしい古里で過ごした幸せな時間に飛ぶのである。

   懐かしき丹波の鄙の里山に雌雄のギフチョウ静心なく舞う 蝶人


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