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2022年03月10日17:19

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「夢は第2の人世である」あるいは「夢は五臓六腑の疲れである」第109回

 

西暦2021年霜月蝶人酔生夢死幾百夜

中国大陸にほど近いその小島には、仮想敵国からの情報を細大漏らさず収集するための、大中小無数のアンテナが、蟻の這い出る隙間もなく立ち並んでいた。11/1

佐々木かをりが親戚ではなかったと知ったおらっちは、少なからずショックを受けたが、「そうか、京都生まれの彼女が、横浜生まれのはずがないもんな」と、胸を撫で下ろしたのだった。11/2

連隊長から「敵の捕虜を14・23に全員ここに整列させろ」と急に命じられたので、捕虜を捜したが、どこにもいないので、わいらあいうにいわれん苦労をしたのよ。11/3

おらっちの会社での仕事は広告宣伝なのに、もう秋が終わって冬に入ろうとしているのに、年初から何の仕事もしていないことに気がついて、慌てて営業部長のところへ行ったら、「今年は宣伝費はゼロなのよ」というたので、腰が抜けたずら。11/4

明日は総攻撃というその夜、わいらあ「みんな家族でいるところをスケッチしてやろうか?」と訊ねると、我も我もと集まって来たので、次々に描いてやったら、みな泣いて喜んでいた。11/5

コロナ禍が一段落したので、マンモス学会へ行ったのだが、「マンモスの本質は、その骨なのか、その内臓なのか、それともその魂なのか?」について、相も変わらず果てしなき議論が繰り広げられていたので、怱々に退席した。11/6

キヨカワ医院の女院長が、土曜日の内科を担当しているそうなので、いちど健康診断を受けてみようかな、と思うのだが、その動機がやや不純ではないかと、朝までもんもんとしているずら。11/7

新社長が同じ場所で毎回作っては壊し、壊してはまた作る展示会の設営費がまったくの無駄遣いだ、と怒り狂っているようだが、これが必要経費であることを、誰も説明しようとはしない。11/8

せっかく頻尿緩和剤を飲みだしたのに、なんでまた1時間おきに小便に行かなきゃならんのだ、それに寝返り打つたびに右腕の筋肉が痛むし、ダメトラは虚人なんかに負けるし、ああ早く寝なきゃ。11/9

私ら2人は、あんまり近くにいたために、かえって、お互いに深く愛しあっていることが、ずいぶん長い間、分からなかった。11/10

三代将軍実朝の私は、毎日歌を詠みながら、あの悪辣陰険な北条時頼が、私の首を取りに来る日を、今か今かと待っているしかなかった。11/11

おらっちは見た。かの公爵夫人が、あのコモド大トカゲとがっぷり四つに組んでから、明後日の方角へ、いとも軽々と投げ飛ばすのを!11/12

司令官から直接頼まれたので、仕方なく面倒を見ているのだが、その頑なに沈黙を続けている男は、ひょっとすると敵の密偵かも知れないので、おらっちは気を抜く暇は、てんでなかったのよ。11/13

イマイさんの小説講座を学んだ人たちから、数多くの芥川賞や直木賞作家が誕生しているが、イマイさん自身は、まだ候補にのぼったことすらないのは、何故だろう?11/14

車のトランクを開けたら、中は水がいっぱいで、金魚とメダカが泳いでいて、水底に2つの弁当箱があった。11/15

高橋アキさんが、ピアノで現代音楽を演奏していることは分かるのだが、それが誰のなんという曲なのかはてんで分からないうちに、演奏が終わってしまい、瞬く間に、聴衆も消えてしまったので、拍手することも出来なかった。11/16

おらっちは、オン・デマンド・サービスで頼んだ、コカコーラと三ツ矢サイダーとカルピスを飲みながら、懐かしの小学校唱歌を歌いまくったのよ。11/17

千客万来の展覧会にスタッフ一同大童だったが、ふと考えてみると、今回は入場料金をとっていないから、全部持ち出しになる訳なのであった。11/18

千客万来の展覧会の最終日の終了時間間際に滑り込んだ客が、いくら「もう終わりですよ」というても、粘りに粘って帰ろうとしないので、みな閉口して、客を残して引き揚げた。11/19

族長は、これから夜襲をかけるテントの中で幸せそうな顔をして眠っている女子供たちのことを思ったが、いそいで頭を振って、その残像を消し潰した。11/20

息子ときたら、五味家の広間に若者たちを集めて、なにやら大演説をしているので、恥ずかしくて仕方がない。いつのまにああいう偉もんハンに成り上がったのか。11/21

スクリーンに映し出された、青春まっさかりのアラン・ドロンを見つめながら、後期高齢者の女性たちが、ねっとりとした妖しい視線を投げかけるので、とうとう銀幕が燃えはじめたようだ。11/22

もうコロナにすっかり飽きた政権が、急に思いついたように18歳以上の国民にクラシックの定番CDを無償提供することになって、まずワルターのモザールの40番&41番が送られてきた。11/23

おらっちは、南アやアメリカ南部で人種差別バスに乗ったことがあるが、それはそれはお話にならないくらい酷いものだった。11/24

おらっちは、ある野党の領袖選挙に立候補したのだが、対立候補のレベルがあまりにも低すぎるので、討論会は欠席して、コブナ釣りに勤しんでいた。11/25

ノジマ電機でエアコンを買おうと思って、販売員と電卓を押しくら饅頭していたら、余の右手の人差指が電卓を突き抜けて、販売員の掌も突き通してしまったので、驚いたなあ。11/26

「シビラっちゅう服のコンセプト、コア・ターゲットのプロフィールは、いったいなんなんねん!」と社長が叫ぶと、その場にいた全員が、なぜかおらっちを見たので、「そんなこと知らすか、なんでおらっちが答えんといかんのかいな」というて、退席したのよ。11/27

いつも細かい所で失敗している大将だったが、最後のコンサートでは、一音符も間違わずに軽妙なフルートの節を奏でた。11/28

バーンスタインな私は、その日のコンサートで、ブラームスのヴァイオリン協奏曲の棒は振ったが、ニールセンの交響曲は謹んで辞退し、家に帰ったずら。11/29

もう今では無くなってしまった会社のこと、もう今では泉下の人となってしまった先輩や後輩の人々のことについて四方山話をしたのだが、その御当人は、おらっちのことを全然それと認知していなかったと別の人から聞いたので、やっぱりそうだったのか、でもよくある話よと軽く受け止めているおらっち。11/30

  政権の批判すら出来ない政党のどこが野党かとムクドリがいう 蝶人


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