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2022年02月03日16:08

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白川静『孔子伝』

 白川静『孔子伝』(中公文庫、1991年)を読了。孔子の時代には中国の豊かな伝統がなお生き続けており、神の言葉を伝える聖人たちの教えがあった。その言葉の意味を明らかにすることが孔子の使命で、彼はそれを心の内に深く求められたイデアである仁において見事に結晶させた。
 しかし、伝統が滅びて長い分裂と抗争とが全てを荒廃させると、問題を人間性の内面のものとして解決することは不可能になり、新たな秩序の原理たるノモスが要求された。その規範性は個人を含む集団の超越性によって成り立ち、全ての人が服従しなければならなかった。墨子や孟子は孔子が明らかにしたイデアをノモスに転化し、荀子は集団の権威を王に代表させ、韓非子は王権の絶対性を説いた。
 荘子はイデアを回復させたが、ノモスの否定を通じて行ったので、孔子のそれとは異なった。ノモスは主体的な生を極度に抑圧し、荘子は個の主体性を激しく主張した。老子はイデアをも棄て、生の要求を絶つことが真に主体を回復するものであるとした。
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