ライラ・スタージェス『マイティ・ソー　シーズンワン』

　ライラ・スタージェス『マイティ・ソー　シーズンワン』（ペペ・ララス画、光岡三ツ子訳、小学館集英社プロダクション、2017年）を読了。「シーズンワン」シリーズはアメコミの会社マーベルにおける人気キャラクターたちのオリジンを新たに描き起こした読み切りのコミック。本作では北欧神話の雷神トールをモデルにしたソーが主役となっている。
　ソーは神々の国アスガルドの若き王子で、最も強い神だが、傲慢かつ軽はずみな性格だった。彼は嫉妬に駆られた義弟ロキの陰謀で陥れられ、父王オーディンによって地球へ転生させられる。北欧神話においてロキはオーディンの義兄弟なのだが、この「マイティ・ソーシリーズではソーの弟として育てられる。
　彼はアスガルドと戦争していたヨトゥンヘイムの巨人で、オーディンにより神へ変えられて出生の秘密は臥せられるが、神々は気風の異なるロキを疎んじていた。小さい頃のロキはソーに懐いており、ソーも弟を可愛がっていたので、ロキが裏切った責任は、神々にも一部あるのではなかろうか。個人的にはその辺りをもう少し描いてほしかった。