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2022年01月21日14:57

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鹿角崇彦「江戸・明治 日本神話絵巻」

 鹿角崇彦「江戸・明治 日本神話絵巻」を読了。仏教の影響を受けるまで日本には神を人の姿で表現する文化がなかった。仏像崇拝に触発されて神像造りが盛んになるのは平安期だが、神像は飽く迄も信仰の対象として神社の奥に秘められた。
 やがて神々の姿は神社の由緒・由来を伝える縁起絵巻にも描かれるようになったが、そこでも顔を隠すような配慮がなされた。近世に黄表紙や浮世絵など出版文化が盛んになり、人々が様々な娯楽作品を求めるようになると、状況は大きく変化した。神話や伝説を元ネタにしたパロディ作品も数多く創られるようになり、江戸時代は神々が戯画化された。
 キャラクター化した神々は自由にデザインされたが、江戸時代には国学というムーヴメントも出現した。国学は日本という国の古来・本来の文化を探求しようとし、時代が明治に変わっても各方面に影響を残し続け、神話のビジュアルにも時代考証が求められるようになった。しかし、本来、神話は豊かな想像力の世界で、多様な解釈と様々な造形が許されてこそ真の魅力を発揮するものだ。
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