尾羊英『災禍の神は願わない』

　尾羊英『災禍の神は願わない』（一迅社、2020年）を読了。エジプト神話を題材にしたマンガ。神々が世界を統べていた時代、軍神セトは兄王オシリスを殺害したと疑われて処刑されるが、兄の即位した直後に時間が巻き戻り、彼を守ろうとする。
　古代エジプトは都市ごとに創世神話がある。本編はヘリオポリスの創世神話を中心としているが、ヘルモポリスの神トートらも絡んでくる。ただし、本作は単に神話を繋ぎ合わせただけのものではない。
　諸神話を組み合わせることでヘリオポリスの創世神話そのものが成立する構成になっている。そこにセトの成長や周囲の心情も絡み合う。なお、この作品は電子特装版に番外編が追加されている。