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2021年07月02日21:58

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「辺境を歩いた人々」 (宮本常一著、河出文庫)

現地に密着したフィールドワークと分析で「宮本民俗学」と称された宮本常一氏の1966年の本の文庫化。罪人として八丈島に流されるも、そこで島の文化や歴史を調べてまとめあげた近藤富蔵、未開の蝦夷地をくまなく歩き、「蝦夷図」を完成させた松浦武四朗、みちのくの風土を愛し、民衆の生活を細かに記録した菅江真澄、北は千島、南は奄美や琉球をくまなく歩き、民情を明らかにした笹森儀助の4人について、その生涯や関わった人物との関係などを綴ったものである。いわば民俗学の先駆者ともいえる4人への宮本のリスペクトも感じられる。私自身もこの4人についてはあまり知らなかったが、偉大な業績を残した尊敬すべき人たちなのだ。


●「駅に泊まろう!」 (豊田巧著、光文社文庫) 

ブラック居酒屋チェーンで働いていた桜岡美月は、ある日辞表を叩きつけて、その足で北海道へ。北海道新幹線と函館本線を乗り継いで比羅夫駅に着いた。亡くなった祖父の経営していたコテージのオーナーを引き継ぎ、北の大地での新生活が待っていたはずだった。しかし、それは想像とは全く違い、古い駅舎を改造した宿だった。距離感覚も時間感覚も東京とは全く違う北海道。そんな新米オーナーのコテージにさっそく訳ありの客が来て、ちょっとした騒動になるも、最後はほっこりとするというお話である。ストーリーや登場人物はフィクションだが、JR函館本線比羅夫駅に実在する「駅の宿ひらふ」がモデルとなっている。ここは一度は泊ってみたいところである。この本を読むと比羅夫に行きたくなる。


●「駅に泊まろう! コテージひらふの早春物語」 (豊田巧著、光文社文庫)

「駅に泊まろう!」の第2作を続けて読んだ。雪のために食材が間に合わず、そこで登場したのがコックの兄の知合いだという猟師が抱えてきたエゾシカ。この間に合わせのジビエ料理が、また北海道らしい素晴らしいものになった。また、子供の時に両親の離婚によって別れた美月の父親がコテージを訪れ、十数年ぶりに再会したりする。そして、客の少ない3月にようやく交替で休みを取る美月とコックの亮。美月は学生時代の鉄道好き(いわゆる「鉄子」)の友人と道東を旅する。元気で明るい友人にも悩みがあって、それが釧路の観光案内所で偶然出会った女性のおかげで吹っ切れたりと、小説的要素は満載。鉄道に関する記述が正確なのは、作者が鉄道ファンだからであり、こういうところも読みやすさの要因だ。ああ、北海道に行きたいなあ。


●「数学の想像力」 (加藤文元著、筑摩選書)

数学は音楽と似ており、それは「始まり」と「中間」と「終わり」という「流れ」を持った一つのユニットであるという。その「流れ」とは、すなわち「論理」である。古代ギリシャでは視覚的に証明することで、数学の論理の正しさを示してきた。「見る」ことが証明の「決済」なのである。しかし、「見えないが正しい」ものが出てくると話はややこしくなる。たとえば無理数だ。ピタゴラスの定理とも称される三平方の定理だが、まさにそのピタゴラス学派自身によって、ピタゴラス教団の「万物は数」が崩れてしまう。無限を扱うと、そこはもう「見えないけど証明できる」世界になる。無限回計算することは不可能だが、それが正しいことの「証明」は出来る。そして無限小解析が微積分の概念へと発展していく。いかにも胡散臭く見えるが、実はそれは「正しい」という概念が出てくる。数学的に「正しい」というのはどういうことか、その深淵に迫ろうという本で、もちろん結論は出ないが、知的刺激に満ちた数学史の本である。


●「明治洋食事始め」 (岡田哲著、講談社学術文庫)

「西洋料理」が、日本の食文化に合うように変化して定着した「洋食」。その洋食の代表ともいえるとんかつが誕生するまでを、明治維新とともに始まった西洋文化の受容からたどって行ったものである。「牛肉を食わぬは文明人でない」と、牛肉が日本で食べられるようになった明治時代。明治天皇も自ら食し、知識人たちも肉食を奨励する。ナイフとフォークを使って食べることも始まるが、庶民の間にはこれがなかなか広まらない。珍妙なマナー(?)も生まれる。そうするうちに、より安価な豚肉が広まり、西洋のコットレットを日本風にアレンジしたとんかつが誕生していくのである。米とも合い、キャベツの千切りと味噌汁との組み合わせという、まさに日本の「洋食」となったのだ。この本を読むと、とんかつを食べたくなるなあ。
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