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2021年06月09日08:48

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大津留厚『さまよえるハプスブルク』

 大津留厚『さまよえるハプスブルク 捕虜たちが見た帝国の崩壊』(岩波書店、2021年)を読了。第一次世界大戦の対ロシア戦線でハプスブルク帝国軍は二百万人を越える兵士が捕虜になった。革命が起きてロシアが大戦から離脱すると、捕虜たちには帰国の可能性が出てきたが、その一方で収容体制が崩壊した。
 幸運な者はいち早く帰還したが、夢見た祖国で厳しい現実に失望した彼らは、次々に叛乱を起こしていった。一方、帰還が叶わなかった捕虜たちの多くは、様々な勢力がともかくも管理する収容所に留まった。彼らの一部は収容所を脱して満洲に向かい、それぞれの民族と関係する協商諸国に保護されたが、ドイツ系とハンガリー系の兵士たちはもう一度そこで捕虜として収容された。
 収容所に留まることを余儀なくされた旧捕虜たちは、シベリアでの非正規戦争の中で日本やアメリカ合衆国を含む様々な軍事勢力の管理下に置かれることになった。ハプスブルク帝国は敗戦と共に崩壊し、ハプスブルク兵を保護すべき国家は失われていた。非正規戦争が続く中、旧ハプスブルク帝国の旧捕虜は非正規な勢力の管理下に置かれ、赤軍の下で戦わされもした。
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