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2021年04月26日16:15

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里中満智子『女帝の手記』

 里中満智子『女帝の手記 孝謙・称徳天皇物語 1〜5』(よみうりコミックス、1994年)を読了。阿倍内親王が主役の歴史マンガ。時系列的には『天上の虹』の続編に当たるのだろうが、繋がりは割りと薄く、『天上の虹』で印象的であった話の後日談がさらりと流されてもいる。
 『天上の虹』との比較で言えば、『天上の虹』が新体制の成立に成功した人々の物語で、『女帝の手記』はそれに失敗した人々の物語になろうか。皇室や藤原氏が新たに成立した体制は、まだ確固としておらず、別のものにもなり得た。そして、阿倍や藤原仲麻呂はその可能性に挑む。
 ただし、数ある選択肢の中でも天武天皇や持統天皇が取った路線は、現実性の高いものだったからか、阿倍は夢のような理想に走りすぎて挫折し、仲麻呂は大それた野望に身を滅ぼしたようにも見える。また、そうであったからこそどこか浮き世離れした道鏡が阿倍のパートナーになったのかも知れない。妖僧のイメージを逆転させた無垢な道鏡は新鮮だった。
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