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2021年03月22日10:36

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北村太郎著「センチメンタルジャーニー ある詩人の生涯」を読んで

照る日曇る日 第1553回

鮎川信夫、田村隆一などと共に「荒地」派を代表する現代詩人の自伝であるが、前半第1部を書きあげたところで1992年に70歳で病死し、残る第2部は、生前のインタビューを正津勉氏がまとめたものである。

戦後の大混乱の中から、いわゆる戦後詩が立ちあがって来る様を詩人たちとの交友ともどもつぶさに叙述した貴重な伝記が面白くない訳がないが、とりわけ愛する妻子を不慮の海難事故で失って衝撃を受けるところ、その後は平凡なリーマン生活を送っていたところに出現した人妻に突如心を奪われ、大恋愛の末に家を出て新生活をはじめるところなど、まさに波乱万丈の生涯といえるだろう。

大恋愛の相手とは他ならぬ親友田村隆一の妻君(彫刻家高田博厚の娘)なのだが、それを主題としたねじめ正一の小説「荒地の恋」や同名のテレビドラマと違って、完全な匿名を貫いて淡淡といるところが潔い。

「どうやって絵描きは食べていくんだろうね」「そんなこたあどうでもええやん」蝶人


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