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2021年01月30日09:20

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「「線」の思考」 (原武史著、新潮社)

「鉄道と宗教と天皇と」との副題がついており、鉄道という「線」を辿って、その結び付きを探っていこうという本である。小田急江ノ島線沿線とカトリック、常磐線をめぐる古代と近代等々、8つの内容からなっている。天皇と仏教あるいはキリスト教、さらには新興宗教も何らかの形で関わっており、ある鉄道路線に沿っていくと、それが浮かび上がってくるのだ。鉄道については、実際に乗った列車の時刻も含めて詳述されており、そのあたりは鉄道好きな著者らしい。私も、江ノ島線とカトリックというタイトルだけ見て、沿線のカトリック系女子校の名前が3つすぐに浮かんだし、日蓮と房総三浦環状線も、タイトルだけでルートが予想できた。このような特定のテーマを持った紀行は最近は停滞気味だが、ウィルス騒動が落ち着いたら私もぼちぼち再開しようと思う。


●「旅する神々」 (神崎宣武著、角川選書)

神々は旅をしたのである。この本は、大国主神、山幸彦、吉備津彦、倭姫命、倭建命の足跡を、「古事記」に書かれたことを中心に、「倭姫命世記」や「備中国大吉備津宮略記」などの記述も併用して、たどったものである。「古事記」の内容を知っていれば、お馴染みの話が多い。もちろん、実在した人物でなかったり、実在したとしても事実かどうかはあやしい神話の世界の話だが、むしろ神話の世界だからこそ、その神々が、なぜそのような「旅」をしたのか、なぜその場所に行ったのか、といったことを考えてみると、いろいろなことが見えてくるのかもしれない。


●「犯人のいない殺人の夜」 (東野圭吾著、光文社文庫)

ここのところ東野圭吾の短編集を読んでいる。この本には「小さな故意の物語」、「闇の中の二人」、「踊り子」、「エンドレス・ナイト」、「白い凶器」、「さよならコーチ」、「犯人のいない殺人の夜」の7編が収められている。標題作の「犯人のいない〜」は、家の中で起きた殺人を全員が口裏を合わせてなかったことにするのが次第に綻びていく話で、オーソドックスだなと思っていたら、そんなトリッキーな結論とは! すっかり騙された。中学生や高校生を主人公にした話も多いが、小さな出来事が大きな結果につながっていたり、どこかせつない話であったり、過去のトラウマが絡んでいたり、とにかく読み始めたら、その話を終えるまで途中で止められない。最近まで全く読んだことのなかった作家だが、短編はなかなか面白い。


●「交響録 N響で出会った名指揮者たち」 (茂木大輔著、音楽之友社)

元N響オーボエ奏者の著者が、N響在籍中の29年間に出会った指揮者についての思い出やちょっとしたエピソードを書いた本である。目次を見ても錚々たる指揮者が並んでいるが、茂木さんらしくユーモアを交えて綴られている。とはいっても、指揮者と演奏者の関係は意外と面白い話が少なく、評論家のインタビューの方がよっぽど中身があるというのが実際のところらしい。でも、演奏者の視点だからこその面白さは伝わってくる。私もN響の演奏会には何度も行っているし、この本に書かれた指揮者でも聴いているし、茂木さんのオーボエも聴いている。そういえばそうかなと思えるところもあったりして、楽しんでさっと読める本である。


●「アイヌ歳時記」 (萱野茂著、ちくま学芸文庫)

自身もアイヌであり、アイヌ文化研究者として、アイヌ文化の伝承に尽くした著者による、興味深い本である。「二風谷のくらしと心」と題し、四季おりおりの生活や風習、神々との関わり、狩猟民族でもあったアイヌ人の動物との関わり、死生観に関することなど、自身の生活体験で見聞したことを中心に詳細に記述している。ひとことでいえば、アイヌは自然と調和して生きる民族なのである。現在はほぼ大和民族と同化して、「日本人」の一部になっているように思えるところもあるが、失ってはいけない民族の心というのはあると思う。
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