E.W.Heine『ルターの蚤』(佐藤恵三訳、東京図書出版、2020年)を読了。エルンスト・ヴィルヘルム・ハイネによる歴史フィクション。歴史上の有名人を題材としたショートショートが収録されている。
著者は歴史人物の些細な生理や心理に注目し、それをその人生の解釈へと繋げていく。ほぼエッセイのようになっている話もあれば、再現ドラマのような小説が書かれているものもある。ハイネは建築家をしていたが、医学にも造詣があり、その知見を作中に活かしてもいる。
取り上げられた人物たちは肯定的に描かれる者もいれば、否定的に描かれる者もいる。しかし、淡々とした筆致によって作者の好き嫌いはそれほど鼻に付かない。トンデモな話を真顔で語り出したりもしている。
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