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2020年04月13日11:11

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関川夏央&谷口ジロー作「『坊っちゃん』の時代第4部 明治流星雨」を読んで



照る日曇る日 第1384回

明治43年5月、世にいう「大逆事件」勃発。元老山縣有朋の極右発条に押された明治政府の首脳たちは、天皇制暗殺を夢想した宮下太吉、菅野須賀子、新村の3名のみならず、その周辺の幸徳秋水をはじめとする事件とは無関係な社会主義者、無政府主義者、反体制者26名を逮捕起訴し、うち24名に死刑判決を下し、12名を実際に殺した。

当時の法律をもってしても死刑に処することはできなかった宮下太吉、菅野須賀子、新村忠雄の3名を死地に追いやったのは、民草の体制批判に怯える元老山縣の強権発動であり、独裁者によるこのような超法規的弾圧は、その後も安倍蚤糞のような後継者によって折に触れて繰り返されているのである。

いずれにせよこの異常な「一罰百戒」が明治以降の日本社会に与えた恐怖と萎縮は圧倒的なものがあり、富国強兵の天皇制国家体制への反逆の道は、長い迂路を辿らざるを得なくなったのである。

本書ではこの「大逆事件」の実相を「目に見えるように」明らかにするとともに、事件が鴎外、啄木、春夫、鉄幹、寒村、荷風、漱石など当時の文学者、主義者などに与えた衝撃についてもリアルに報じている。

   中世にペストが流行りし時に似るや鎌倉街道人影もなし 蝶人

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