mixiユーザー(id:4601390)

2019年12月30日20:55

126 view

気儘徒然句鑑賞五十一

見返りの坂から月へ昇る墓(筒井祥文)
 筒井祥文川柳句集「座る祥文・立つ祥文」より。
 昇るのは墓という奇想が句意なのだろうが、遺句集の中に置かれると昇るのは作者で、作者が己の墓を見下ろしているような読みの錯覚に陥る。だが、まあそれは置いておこう。
 月は見上げるものだが、見返りを持ってくることで軽い違和感をかき立てつつ墓で締める。「月に」とやると解りやすくはなるが、「月へ」のダイナミクスは薄れる。
 多くの昇天譚は人の昇天であるが、墓の昇天は珍しい。乗り遅れたか。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する