高室弓生『神々の物語』

　高室弓生『劇画古事記　神々の物語』（バジリコ、2006年）を読了。戸部民夫のシナリオによる『古事記』のコミカライズ。天之御中主神を語り手とし、神代のところが物語られる。原典では名前だけしか出てこない神も、しっかりデザインされている。
　個人的には素兎と少名毘古那神、天迦久神のキャラデザが好みだった。生体ユニットのようになってしまった黄泉の伊邪那美命も捨てがたい。タッチは全体的にごついが、ノリは剽軽なシーンが割りと入っている。
　そのおかげで若干エログロなところが抑えられている。縄文時代のマンガを描いてきた著者によるファンサービスも見られる。『古事記』のコミカライズには劇画が多いが、原典に忠実なのではこれが最も良かった。