ゆうきまさみ『ヤマトタケルの冒険』(みのり書房、1984年)を読了。ヤマトタケルの伝説がコミカルかつシニカルに漫画化されている。ギャグも交えながら性と暴力が淡々と描かれている。
ヤマトタケルは妹と近親相姦の関係にあり、それが元で兄を殺して政争に巻き込まれる。彼は飄々としたショタで、どこか性格が乾いている。もっとも、どのキャラクターも大なり小なりドライなところがあり、それが無常感や不気味さを感じさせる。
ただ、物語は打ち切りっぽく終わるので、あっけらかんとした作風が物足りなくもある。急に話を畳まれ、回収されていない伏線も見られる。明るく頽廃的な雰囲気にはぞくぞくさせられたので、消化不良なのが残念でならない。
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