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2019年06月22日22:26

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【音楽】 愛深きブラームスの世界 Vol.4

梅雨の最中、雨の一日だったが、今日の午後はブラームスの室内楽を聴きに行った。Kampanie Brahms メンバーが1年に1回(昨年はなかったが)行っている「愛深きブラームスの世界」と題する室内楽演奏会で、今回が4回目である。もちろん、プログラムはブラームスが中心で、今日はオール・ブラームスだ。

 ・ブラームス: 愛の歌 ワルツ Op52-6
 ・ブラームス: ワルツ Op39-15
 ・ブラームス: ピアノ三重奏曲第1番
 ・ブラームス: ハンガリー舞曲 第9番/第2番/第4番
 ・ブラームス: クラリネットソナタ第2番

   ヴァイオリン:荒川以津美/山中直子、 クラリネット:日比野裕幸、 チェロ:松葉春樹
   ピアノ:本多昌子/島田三津起/鷺谷宰

   会場:汐留ベヒシュタインサロン (15:00 開演)


メンバーの荒川さんは読売日本交響楽団の団員でもあり、室内楽演奏も積極的に行っている。今回も荒川さんから直々のお誘いがあり、聴きに行くことにしたのである。(第1回から欠かさず行っている。)

今日のテーマは「人間ブラームスに迫る」であり、単に演奏するだけでなく、演奏者による作品の背景などの解説もある。といっても堅苦しい講義ではなく、笑いありの楽しい話だ。(初回の頃に比べて、トークも上手くなってきた?)

最初は、山中さんと本多さんによる「ワルツ集」からの2曲である。もともとヴァイオリンとピアノのために作られた曲ではないが、それを二重奏で演奏するのである。演奏前の解説は山中さん。(解説の中に一つだけ誤りがあったが、触れないでおく。)  演奏が始まると、作品52の方の「愛の歌 ワルツ」は、あまり馴染みがないことを認識させられる。もともと4声部歌唱とピアノ連弾という編成の曲であり、歌曲や合唱曲にはまだ知らない曲が多いのである。聴けば、ブラームスらしい素敵な曲であった。作品39-15はさすがに知っている。いわゆる「ブラームスのワルツ」であるが、ヴァイオリンとピアノで聴くのは初めてかもしれない。こちらももちろん素敵な曲である。

続いては、ピアノ三重奏曲第1番だ。これまで第3番、第2番が演奏されたので、今回でコンプリートである。荒川さん、松葉さん、本多さんの三重奏だ。演奏の前に荒川さんの解説がある。ブラームスの作品のイメージである「重厚」で「やや暗い」は、ブラームスが北ドイツ生まれであることによるらしいが、それにしても、この三重奏曲は作品番号が一桁で、実際20歳の時の作品なのに、この完成度の高さはなんなんだと思っていたら、のちに(56歳の頃)に大幅な改訂をしたのだった。今日演奏されるのはこの改訂版だが、この曲はブラームスの作品としては例外的に初版も残っているという。他の作品は、気に入らないとブラームスはことごとく破棄しているのに、この作品に対しては愛着と厳しさを両方もっていたのだろうとのこと。この曲に2種類の版があることを今さら知った訳である。演奏は、今日の演奏会のハイライトとも言うべき、素晴らしいものであった。ありがちなヴァイオリンだけが目立つ演奏ではなく、チェロやピアノも対等に、むしろチェロが前面に出ているような箇所もあり(ブラームスがそのように書いているのだろう)、CDで漠然と聴いているだけよりも、数倍も濃い内容を楽しめた気がする。

休憩のあとは、ハンガリー舞曲から3曲である。荒川さんと島田さんの二重奏である。解説は島田さん。オーストリアハンガリー帝国が成立し、東欧音楽が流行ったのにうまく乗って、「ハンガリー舞曲集」が大ヒットした。そもそも、20歳の頃にレメーニとの演奏旅行で弾いたジプシー音楽をまとめたもので、レメーニとブラームスの関係などを、島田さんが真面目な顔で面白く語る。荒川さんにマイクが渡り、いきなり「ジプシー音階を弾いてみて」と振られて、ピアノで示す島田さん。それに続けて、実はヴァイオリン協奏曲のソロ・ヴァイオリンの入りもジプシー音階なんですよ、と弾いてみせる荒川さん。たしかに! 今まで気付かなかった。

ハンガリー舞曲は第9番、第2番、第4番の3曲を続けて演奏だ。いろいろな形に編曲されている曲集だが、ヴァイオリンとピアノというのは、ジプシー音楽らしさが一番出ているのではないだろうか。ヨアヒムの編曲版がベストであるという。第4番は、日本の演歌にも通じるような雰囲気があり(?)、ハンガリー舞曲集の中でも、個人的にも好きな曲である。「ちょっと重めの三重奏曲のあとは、軽めのハンガリー舞曲を」なんて言っていたが、この3曲も充実した演奏であった。

最後はクラリネットソナタ第2番である。前に第1番が演奏されたので、クラリネットソナタも今回でコンプリートだ。演奏は日比野さんと鷺谷さん。解説は日比野さん。激しい第1番に対してより温かな第2番。クラリネットソナタと、ピアノ曲などに共通する音型などをピアノで示しながら(ここでも、日比野さんが急に鷺谷さんに「ちょっと弾いてみて」と振る)説明し、話し出すと長くなるのでと切り上げて演奏を始めた。創作意欲も衰え始めたブラームスが、クラリネットの名手に出会い、再び意欲に燃えて作った曲である。全体的に穏やかながら、ブラームスの作品を凝縮したような曲。しみじみと良い曲だなあと思える作品で、それにふさわしい演奏であった。

このあとは、さらにアンコール演奏があった。ピアノ四重奏曲第1番の第4楽章を、山中さん、日比野さん、松葉さん、鷺谷さんの4人で演奏である。本来はヴィオラのパートが今日はクラリネットになるが、違和感がほとんどなく聴けるものである。アンコールも息の合った熱演であった。アンコールにこの曲を選んだのは、これもジプシー音楽がベースになっているからだとのこと。たしかに、「ハンガリー舞曲」のスペシャルバージョンを聴いているような気分になる。この曲もCDで何度も聴いているはずなのに、ジプシー音楽とのつながりなんて気にしたことなかった。

よく聴いているはずのブラームスの室内楽も、奥が深いことを感じた演奏会であった。


演奏会のあとは、毎回恒例のワイン・パーティーである。今日のワインは、ブラームスが「赤いはりねずみ」でもよく飲んでいたというハンガリーワインより、白がシャトー・デレスラ・トカイ・フルミント・ドライ、赤が「雄牛の血」の名を持つトーレイ・タリスマン・エグリ・ビカヴェールである。それぞれ1杯ずついただく。演奏者ともいろいろ話ができるし、初対面の名前も知らない人とも話が盛り上がってしまう。荒川さんより「あれ? ○○さんと知り合いだったの?」と聞かれ、「いや、今日初めて会った」  こちらも楽しい時間であった。最後に記念撮影をしてお開きにした。
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