今日は演奏会に行った。NHK交響楽団である。
今日のプログラムは次のとおりである。
・シベリウス: アンダンテ・フェスティーヴォ
・トゥビン: 交響曲第5番
・ブラームス: 交響曲第4番
指揮: ネーメ・ヤルヴィ
会場: NHKホール (15:00 開演)
ネーメ・ヤルヴィの指揮で、トゥビンの交響曲が聴けるのである。これは聴かない訳にはいくまい。エドゥアルド・トゥビン(1905−1982)は、祖国エストニアがソ連に占領された際にスウェーデンに渡り、以後スウェーデンで作曲を続けたが、祖国エストニアへの想いは断ち難く、「望郷の作曲家」と言われることもある。日本ではメジャーな作曲家とはいえないが、親交のあった同郷のヤルヴィをはじめ、彼の作品の紹介に努めた指揮者や演奏家のおかげで広く知られるようになり、21世紀の今も演奏されているのだ。
トゥビンの交響曲をはじめて聴いたのは、ネーメ・ヤルヴィによる4番と9番のCDだが、そのあと続けていろいろと聴いて、気が付けば交響曲全曲をはじめ、結構CDがたまっていった。ピアノ曲は何曲か生で聴いたことがあるが(これもエストニア音楽を紹介しているピアニストのおかげ)、交響曲を生で聴くのは初めてだ。これは楽しみである。
前置きが長くなったが、演奏会はまずはシベリウスから始まる。「アンダンテ・フェスティーヴォ」は弦楽とティンパニだけで演奏される曲で、アンコール演奏で聴いた回数は多いが、プログラムの最初から聴くのは初めてかもしれない。ヤルヴィ氏は、指揮台に立つともったいぶった間はおかずに、すぐに指揮棒を振り演奏が始まる。これは他の曲でも同じだった。まずはスッと落ち着くような曲で、好調な滑り出しである。安心して聴ける演奏であった。
続いて、お待ちかねのトゥビンだ。3つの楽章からなる交響曲で、第1楽章と第3楽章の最後の方の激しいティンパニが印象的だが、それも含めて全曲をじっくりと聴いた。冒頭からいきなりリズミカルな主題で始まり、これがドラマチックに展開していく。亡命直後に作られた作品ということもあってか、だんだんと激しく悲劇的になるようで、最後のティンパニでそれを締めくくる。第2楽章はアンダンテで、エストニア民謡も絡めたしみじみとした曲は、トゥビンの望郷の想いだろうか。そして、第3楽章は緊張感を保ちながら、次第に激しく盛り上がって行く。ティンパニの連打は、ソ連の侵攻にも聞こえるし、何かトゥビンの内なる叫びのようにも聞こえる。美しい祖国を奪われた怒りと悲しみが伝わってくるようだ。ヤルヴィも、この曲に共感を持ちつつ、過度になることのないよう制御しながら振っているようで、大いなる感動を生む演奏であった。
休憩のあとはブラームスの第4番である。こちらは何度も聴いている曲であるが、大好きな交響曲を問われたら最初にこの曲をあげる。だから何回聴いても絶対に飽きることはない。指揮者による違いも楽しむことができるのである。今回のヤルヴィによる第4番は、なかなかユニークな演奏であったと思う。ドイツ系指揮者のような重厚なブラームスではなく、どちらかというと軽快な感じの第4番であった。冒頭のフレーズからして、涙とため息をさそうような演奏ではなく、すっと軽いのである。最後まで速めのテンポで軽快に進み、聴き慣れた第4番も新鮮に聞こえた。ブラームスは、低音にしっかりと支えられた重厚な音の方が、どちらかといえば好みではあるが、このようなブラームスも面白いと思った。
ネーメ・ヤルヴィは6月の誕生日で82歳になるはずだが、まだまだ健在である。パーヴォよ、まだまだだな、とでも言っているような(?)存在感であった。
NHKホール前の代々木公園では、何やら屋台が並んでいて、美味しそうなビールが誘いをかけるが、現在ビール類は控えている身、演奏会終了後はまっすぐに帰った。
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