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2019年04月12日13:27

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安彦良和『蚤の王』

 安彦良和『古事記巻之三 蚤の王 野見宿禰』(中公文庫、2004年)を読了。シリーズとしては番外に当たる。主人公の野見宿禰は命を懸けた試合に勝ち、殉死を止めさせた話だけ歴史書に残されている。
 本書はそれらに誉津別皇子の話を織り交ぜる。時代は垂仁天皇の治世に当たり、大和朝廷は軌道に乗っているが、出雲族や山岳民との民族問題は解消されていない。垂仁天皇はそれに対してイワレヒコと異なり、マキャベリスティックな手段で臨む。
 しかし、そのような垂仁天皇にも誉津別皇子を溺愛する情がある。勿論、それは垂仁天皇が行ったことを帳消しにはしない。主役の宿禰も様々なことで罪の意識を負うが、それでも、前に進もうとし、そのことがやがて意図せずに状況を動かす。
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