市立長浜城歴史博物館編『神になった秀吉 秀吉人気の秘密を探る』(サンライズ出版、2004年)を読了。江戸時代の人々は豊臣秀吉を神のように信仰した。これは江戸時代の世相や思想を秀吉という人物に投影したものだ。
江戸時代は身分の移動が困難で、百姓から武士になって出世するなど夢物語だった。だからこそ、庶民は自分たちが果たせない夢を秀吉の出世物語に見出した。また、庶民の意識には反権力の思想が根付いており、時の権力である徳川家の初代たる徳川家康が秀吉に臣従していた時代の物語は溜飲が下がるものだった。
なお、秀吉に年貢免除を認められた長浜町民は、その朱印状を徳川幕藩体制にも認めさせた。年貢免除された区域である朱印地は町人自治のシンボルだった。長浜はそのような朱印地を与えてくれた秀吉を江戸時代でも礼拝した。
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