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2019年03月24日23:56

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巨星/ピーター・ワッツ

 個人的には当代最高のSF作家だと思っているピーター・ワッツの日本版オリジナル傑作短編集。グレッグ・イーガンに比べて同じような(宇宙の諸法則や人間の意識といった)問題を扱っても、理性よりも感覚に響くものがある。ウェットで、エグいのだ。
表裏一体の二編「天使」「付随的被害」…心を持つようになる殺戮機械と、殺戮機械にされる人間の物語が、極めて倫理的/論理的にほとんど同一の結末に収束していく様は、ワッツの作家性の最たるものだろう。
「遊星からの物体Xの回想」はタイトルから連想されるエイリアン映画を、そのエイリアン自身の視点で描きなおす。異星たる地球に漂着した群体知性から見れば、地球の生態系がむしろ不和と恐怖に満ちたものとして映る。B級ホラーを反転させ、恐るべき福音の到来を告げて締めくくる、新生コズミックホラー。
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