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2019年02月11日20:43

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【音楽】 日本人作曲家の作品を聴く (その8)

今日はどんよりと曇った寒い一日だった。そんな休日は自宅で音楽を聴いて過ごそうという訳で、今日も手持ちのCDから、日本人作曲家の作品をいろいろ聴いた。

●伊福部昭
 ・ヴァイオリン協奏曲第2番
 ・シンフォニア・タプカーラ

   加藤知子 (ヴァイオリン)/高関健指揮 札幌交響楽団  (2014)

いつものとおり(?)、1枚目は伊福部から。今日はこの2曲である。いずれも生でも聴いたことがある曲だが、関東のオーケストラばかりなので、CDでは札響の録音を聴く。ヴァイオリン協奏曲第2番は、第1番(協奏風狂詩曲)に比べて、やや地味で渋い印象の曲だが、やはり名曲である。冒頭から数分間のヴァイオリンのソロが、いきなり聴きどころ。「タプカーラ」は伊福部唯一の交響曲で、生でも何度も聴いている。アイヌの踊り「タプカーラ」を題材にした作品で、第3楽章は伊福部ならではの「原始のリズム」が炸裂。


●信時潔
 ・交聲曲「海道東征」
 ・絃楽四部合奏 (絃楽オーケストラ版)
 ・あかがり
 ・帰去来

   山田和樹指揮 横浜シンフォニエッタ
   三縄みどり (ソプラノ)/澤村明子 (ソプラノ)/兼武尚美 (アルト)
   大澤一彰 (テノール)/春日保人 (バリトン、バス)/「海道東征」合同合唱団
   左座守指揮 熊本県庁合唱団/石田親子 (ピアノ)   (2014)

さて、今日は建国記念の日だ。ならば、神武東征を題材にした「海道東征」を外す訳にはいかないだろう。昨年はようやく生でも聴くことが出来て感動的であった。今日は3枚あるCDからこの盤を聴くことにした。熊本県立劇場におけるライヴ録音である。「高千穂」、「大和思慕」、「御船出」、「御船謡」、「速吸と菟狭」、「海道回顧」、「白肩の津上陸」、「天業恢弘」の8つの楽章からなる。日本人の心に直接触れ、聴いた後にじわっとくるような曲である。併録の絃楽四部合奏や、熊本県庁合唱団による合唱曲も素敵である。


●山田一雄
 ・小交響曲「若者のうたへる歌」
 ・交響組曲「呪縛」
 ・もう直き春になるだらう
 ・日本の歌
 ・おほむたから
 ・交響的「木曾」

   田中良和指揮 オーケストラ・ニッポニカ/山田英津子 (ソプラノ)  (2011)

山田作品はマーラー的であるとよく書かれており、たしかにマーラーのような雰囲気はある。「若者のうたへる歌」は若さゆえの自由奔放な音楽か。「呪縛」(「印度」とも)は、僧が悪夢の虜になる話だが、2曲目の山田の娘英津子のソプラノによる「目に見えぬ女の妖気」がすごい。「もう直き春になるだらう」は今の季節にぴったり。「おほむたから」は帝国臣民といった意味で、戦時中に国民を励ます音楽としてラジオから流れたが、実は葬送の音楽なのだ。「おほむたから」は生でも聴いたことがある。木曾節などの民謡をモチーフにした「交響的木曾」も面白い。


●早坂文雄
 ・古代の舞曲
 ・左方の舞と右方の舞
 ・映画音楽「羅生門」から
 ・管弦楽のための変容

   芥川也寸志指揮 新交響楽団 (1979/1987)

日本の古代舞曲の雰囲気を持たせた作品を書きたいということで作られた「古代の舞曲」は、まさに舞楽の雰囲気。「左方と右方」も、雅楽の左舞と右舞の交互の舞を表したもので、どちらも日本伝統の雰囲気があふれた音楽である。「羅生門」も雅楽的雰囲気もあれば、ボレロ(これは黒澤明監督の注文による)もあり、早坂自身も映画音楽の中では会心の出来といっているようだ。「変容」は絵巻物をイメージしたもので、西洋の合理的なリズムではなく、「能」のリズム感を意識したという。「変容」のタイトルのごとく、冒頭のチェロの主題が変幻自在に変奏していく。友人伊福部は「早坂君の音楽は無形式だ」といったが、それが早坂の独創性につながっているのだ。


●石井眞木
 ・日本太鼓とオーケストラのための「モノ・プリズム」
 ・打楽器とオーケストラのための協奏曲「アフロ・コンチェルト」

   朝比奈隆指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団/鬼太鼓座 (日本太鼓)  (1978)
   岩城宏之指揮 NHK交響楽団/百瀬和紀 (打楽器)/山口多嘉子 (打楽器)   (1982)

「モノ・プリズム」は、日本太鼓の単色の「モノ」とオーケストラの多彩な音色「プリズム」の結合を意味するらしい。この曲を初めて聴いたのは、まだ今ほど日本人作曲家の作品を聴いていなかった頃のあるアマオケの演奏会だが、他に何を演奏したのか忘れてしまうほど印象的だった。それまでに聴いていた「クラシック音楽」とは違う! この録音ではなぜかオーケストラのみの第一部がなく、第二部のみとなっているが、日本太鼓とオーケストラが絡み、静から動に動き、最後に炸裂するのは聴いていても気持ちいい。「アフロ」はアフリカ土俗音楽の響きを取り入れたもの。これもpppからffffまで、全体がクレッシェンドしていくのだ。このCDは、打楽器奏者は二人の「ヴァージョンA」である。(一人奏者の「ヴァージョンB」もある。)


●三善晃
 ・夏の散乱
 ・レオス
 ・魁響の譜
 ・響紋

   沼尻竜典指揮 東京フィルハーモニー交響楽団/東京少年少女合唱隊 (2004)

三善のCDからこれを選んで聴いたが、これは楽しい曲ではない。「夏の散乱」は、何が散乱しているかといえば、死体である。宗左近の一行詩、「現よ、明るいわたしの墓よ」に基づく、原爆が落とされた「あの夏」の曲である。「レオス」は「流れ」を意味するが、永遠への回帰という死の曲。なんだか暗くて重い曲が続く。「魁響の譜」は、ものの始まる前の生命の声ということで、これは、明るい曲ではないけれど、前向きのエネルギーを感じさせる曲だが、次の「響紋」でどん底に突き落とされる。童声合唱による「かごめかごめ」を伴うが、もともとわらべ歌というのは怖いものだと思い起こさせる。うしろの正面だあれ?=今度死ぬのはだあれ?


●大澤壽人
 ・コントラバス協奏曲
 ・ピアノ協奏曲第3番「神風協奏曲」

   山田和樹指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
   佐野央子 (コントラバス)/福間洸太郎 (ピアノ)  (2017)

次は、実際に行った演奏会のライブ録音を聴こう。コントラバス協奏曲というだけでも珍しいが、大澤のモダンな感覚がここにも現れている。コントラバスを際立たせつつ、オーケストラで素敵なメロディーを聴かせるという曲だが、第2楽章のピッコロが能管のようで、邦楽を聴いているようにも感じるし、日本の雅楽の音を表すための四分音も用いられる。「神風協奏曲」は、大澤壽人の作品の中では数少ないメジャー(?)作品だろう。グリッサンド奏法などもあり、ジャズ風な箇所もあり、豪快にして美しい音楽である。


●和田薫
 ・オーケストラのための民舞組曲より「囃子」、「土俗的舞曲」
 ・津軽三味線とオーケストラのための「絃魂」
 ・管弦楽のための交響的印象「海響」
 ・チェロとオーケストラのための「祷歌」
 ・犬夜叉幻想
 ・和太鼓とオーケストラのための協奏的断章「鬼神」

   水間博明指揮 WDRケルン放送管弦楽団
   和田薫指揮 WDRケルン放送管弦楽団 (「犬夜叉幻想」、「鬼神」のみ)
   木乃下真市 (津軽三味線)/オリバー・ヴェンホルト (チェロ)
   林英哲 (和太鼓)/上田秀一郎 (和太鼓)/田代誠 (和太鼓)  (2009)

伊福部昭の愛弟子の和田。伊福部作品の演奏会場ではよくお見かけするが、和田作品を演奏会で聴いたのは「海響」くらいだ。CDもこれ1枚しか持っていない。全曲通じていえるのは、やはり伊福部の弟子なのだということ。伊福部音楽の雰囲気をそのまま引き継いだような作品である。「囃子」、「土俗的舞曲」からお祭りモード。「絃魂」は野性的な音楽。「海響」は、千葉県銚子市の「自然、人、祭り」をテーマに、民謡の旋律も取り入れた音楽。「祷歌」は自然(オーケストラ)の中で巫女(チェロ)が憑依していくのだとか。後半やっぱり激しくなる。アニメ「犬夜叉」の音楽をモチーフに再構成された「犬夜叉幻想」も素敵で、最後の「鬼神」は迫力満点。


さて、今日はこれでしめよう。
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