猫のように今日と同じような明日を願う、旅嫌いな僕は、こういうのを読んで行ったような気になる。
池澤の旅日記はテンションが高くなく、地理的な解説や私見が主で、旅先の人々との過剰な交流が書かれないので、好きだ。
旅先でのハイテンションを押しつけられるのは鼻白む。
旅先で出会う人々が誰でも歓迎してくれるのもおかしい。だってそこは彼らの日常がある場所であり、部外者の浅薄な興味など迷惑でしかない場合が多いだろう。
むろん、誰も行かないような場所に行って、「どうだ」と言わんばかりの自慢記(自慢しているという意識がないほど質が悪い)はうんざりだ。
思えば、僕は、子供の頃地理が好きだった。川の名前や山脈の名前をよく憶えていた。
人間社会がいかにくだらなくとも、川も山脈も、そこに暮らす動植物も変わらない。
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