詩稿一編

　先日のメランジュ読書会に詩を投稿した。ここにもアップしておく。

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埋もれた句帳から

半年前に退職し
そのころにコンピュータが壊れた
ハードディスクに移していない句帳が一冊残った
パラパラとそれを眺めていると
色んな句が目に飛び込んでくる

　　朗唱の小人　電車カタコト

何考えてこんな句を作ったのか

　　受け売りの名人と買う涙かな

受け売りの名人て誰のことだ
あ俺か　俺が俺と買い物
おまけに涙とは

　　内臓を抱えたままに鳥帰る

鳥に己を託したつもりはないが
そう読まれそうだ
危ない危ない

　　酸性雨止めの塗料をかけられてつるんとなった孫文先生

ところどころに短歌が混じっている
これはちょっと面白いと思うのは俺だけかな
まあ　鳥に己を託すよりはましだ

　　砂利が流れて今のは摂津本山か

いつも途上なのだ

残務に憑りつかれていたこの頃
退職すればタガが外れて
五七五も五七五七七も
その他のもろもろも
何も書けなくなってしまうかもしれないと思っていた
それも良いかなとは思っていたが
その頃の句帳は埋もれて
二冊三冊と句帳は更新されて
なお途上


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