禾偏に火と書いて、秋となるのだが、なんとなく由来は焼畑農業なのかと思っていた。しかし、焼畑農業で火を入れる時期は、若草山の山焼きに見られるように、早春と考えるのが普通だろう。
調べてみると、日本の焼畑農業では春焼きと夏焼きがあるようだが、秋焼きはない。中国大陸では、気候の違いで秋焼きがあったのだろうか。なんか変な話だな、と思ってはいたのだが調べずに放っておいた。だが最近、ふと思いついて漢字「秋」の由来を調べてみた。
「秋」の異体字に「穐」がある。もともとの字は禾編に亀と火がくっ付いた字だったようだ。亀は爬虫類の亀ではなく、虫を表す字が字体を整理していくうちに亀と同じものになった。虫は穀物を食い荒らす虫とのことで、多分蝗だろう。蝗を防ぐ火が、禾編に火の由来だった。
日本でも蝗害はあったが、中国大陸のそれは規模がはるかに大きい。穀物の取入れ時期には予防措置として虫を焼き払うことが行われていたのだろう。言われてみれば、納得できる話だが、なかなかそこまでは想像できなかった。
ちなみに焼畑農業は、ウィキペディアでは「主として熱帯から温帯にかけての多雨地域で伝統的に行われている農業形態」とある。中国大陸でも、漢字の発生した地域とは微妙に異なる。焼畑とはまず縁がないと考えて差し支えないはずだ。
秋の火を考えている秋灯下
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