台風の影響による強風も去り、今日はまた夏の暑さが戻ってきた。まあ、そんな天候には関係なく、今日も演奏会に行った。東京交響楽団の演奏会である。演奏会は直前になって急に行こうと思い立つことも多いが、今回は早々にチケットを入手しておいた、絶対に逃せない演奏会である。
今日のプログラムは次のとおりである。
・萩森英明: おとづれわたる秋風を
・モーツァルト: 交響曲第41番「ジュピター」
・羽田健太郎: 交響曲「宇宙戦艦ヤマト」
指揮:大友直人/ヴォカリーズ:小林紗羅/ヴァイオリン:大谷康子/ピアノ:横山幸雄
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール (14:00 開演)
自宅も仕事も川崎市内であり、勝手知ったる川崎の町。ミューザでの東京交響楽団の演奏会は、「地元のホールでの地元のオケの演奏会」である。
今日のプログラムは、大半の人が後半の「ヤマト」が目当てだろう。私も直前まで「ヤマト」の他に何を演奏するのか忘れていて、「あ、ジュピターだったか」と思い出したという体たらくである。
その前に、萩森さんの、東京交響楽団委嘱作品の初演がある。もちろん全く初めて聴く曲だ。「新古今集」の「野辺ごとにおとづれわたる秋風をあだにもなびく花薄かな」(八条院六条)という和歌から着想を得たという。冒頭の響きが「う〜ん」と思ったが、弦楽合奏を主体にした穏やかな「和」の雰囲気で、終わってみるとなかなか良い感じの作品だと思った。8分ほどの短い作品だが、秋の気配を感じさせてくれるような、8月下旬の今の時期に相応しい作品だったといえる。演奏が終わると作曲者の萩森さんがステージ上に呼ばれて挨拶。こういうことが出来るのは現役の作曲家だけだ。モーツァルトではそうはいかない。
続いては、そのモーツァルトの「ジュピター」である。モーツァルトの交響曲は演奏会でも何度も聴いており、第41番も初めてではないが、もともとモーツァルトを目当てに演奏会に行くことはほとんどない。たまたまプログラムの中にモーツァルトの作品が入っていたら聴くというだけである。今さらどうこう言うまでもない古典的名曲であり、今回の演奏も、ややゆったりしたテンポで、この作品の良さを認識させてくれた。「ジュピター」とは木星であり(昔は、この曲を「木星交響樂」と称したこともあるらしい?)、宇宙絡みで次のメインプログラムにつながるということだろうか。
休憩のあとは、お待ちかねの「ヤマト」である。我々の世代には「宇宙戦艦ヤマト」を知らない人はいないと言ってよい。♪さらば地球よ〜、旅立つ船は〜 というテーマ曲を聴いたことがない人もいないと言ってよい。その宮川泰による「ヤマト」の音楽をモチーフに、羽田健太郎が4楽章構成の交響曲に作り上げたのがこの曲である。単に宮川泰のメロディーをつなげただけではなく、そのモチーフを題材に壮大な交響曲に仕上げたもので、羽田健太郎の渾身の大作なのである。この交響曲を生で聴ける機会を逃す手はない!
演奏はいうまでもない。CDで聴くよりも何倍も素晴らしい。まさしくこれは羽田さんの代表作であり、日本の誇る交響曲作品の一つだ。第1楽章「誕生」、第2楽章「闘い」、第3楽章「祈り」、第4楽章「明日への希望」と、各楽章の副題も「宇宙戦艦ヤマト」のストーリーをイメージさせる。
第3楽章の前に、スターシャ、ではなかった、ヴォカリーズの小林さんが登場。小林さんのヴォカリーズが始まると鳥肌が立ってしまった。第4楽章ではヴァイオリンとピアノの独奏が加わるので、会場セッティングで少し間があく。この間に大友さんのトークがあった。楽章間で指揮者のトークが入るのも珍しい。(最初からピアノとヴァイオリンが待機している訳でもないし、第4楽章はどうするのかなと気になっていた。) 大友さんによる羽田さんの濃い紹介が終わり準備が整うと、古代進と森雪、ではなかった、ピアノの横山さんとヴァイオリンの大谷さんが登場。素敵な第4楽章が始まった。ピアノのパートは羽田さん自身が演奏することを想定して書かれたもので、ピアノが主役のようだが、ヴァイオリンも絡んで、実に素晴らしい楽章に仕上がっていることを再認識した。
エンディングは34年前の初演時とは若干違った。今回の演奏が本来のもので、初演の際にはプロデューサーの希望で変更が加えられたらしい。初演時のエンディング(CDで聴いた)よりも、今日の方がいいと思う。
前述のとおり、もともとピアノは羽田さん自身が演奏することを想定していたため、ピアノのパートはきちんとした譜面になっていなかったとのこと。これを譜面に落としたのが、1曲目の作曲者の萩森さんということで、そういうつながりがあったのも、大友さんの説明で知った。
実に素晴らしい「ヤマト」を心ゆくまで聴くことが出来て、至福の午後であった。
演奏会終了後は、熊本から来られた友人と待ち合わせ、川崎らしい「安くて気軽な飲み屋」で一献、まだ明るいので、そのあと「タワーレコード川崎店」を覗いて、さらに「蕎麦を食いたい」とおっしゃる友人の希望があり、川崎の町を散策。いわゆる立ち食い系は却下、高級系も却下、となるとあそこしかないと、何度か行っている蕎麦屋の前まで行くが、閉まっていたので蕎麦は断念。まあ、川崎の町の雰囲気を感じていただいたので良かったのではないかと。
しばらく「ヤマト」が耳から離れそうにない。
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