今日は金曜日だが休日である。夏休みだ。遠出する予定はないが、今日は暑さも激しくないし、ぶらりと出かけることにした。特に行先は決めていないが、とりあえず小田急線で新宿に行く。ラッシュのピークなのにそれほど激しい混雑でないのは、複々線開通の効果か。
さて、これからどこに行こうか悩むが、とりあえず湘南新宿ラインの乗り場に行くと、高崎行きが来たので、これに乗ることにした。都内から離れていくので、車内はガラガラだ。大宮を過ぎて高崎線に入り、そのまま各駅停車の旅で終点高崎まで行ってしまった。新宿からちょうど2時間である。
高崎には何度も来ているので、それなら高崎からさらにどこかに行こうと思う。信越線の横川行きが出るので、安中あたりに行こうと決めて信越線に乗った。信越線といっても、新幹線開通と引き換えに分断され、高崎−横川は「信」も「越」も通らない、群馬県内だけのローカル線だ。
安中駅で下車する。安中でおりたのは、安中市には旧松井田町の横川駅にしか行ったことなく、「本来の安中」には行ったことがなかったので、「安中市に行ったことがある」というのは微妙なので、訪れようと思ったのである。これで群馬県も全市制覇である。
安中駅というから安中市の中心駅かと思ったら、駅周辺が寂しすぎる。安中市街は国道18号を400mほど行って左に入ると先にあるらしい。駅は市街地の近くではないのだ。国道18号(中山道)に沿って歩くが、しばらく行くと「安中市街」を示す表示が変だ。曲がるところを間違えて先まで行ってしまったことに気付く。少し遠回りになったが、安中市の中心市街地と思われるところに出た。
安中の商店街も、中山道の宿場町の面影も若干あって、なかなか趣がある。正午になったので、ちょうど目についた「すかや」という蕎麦屋に入る。外見は特になんともないが、中に入ると昭和時代で時計が止まったような雰囲気だ。先客が1人いたが、ちょうど出るところで、あとは客は自分1人だけだった。「天ざる」を頼むと、「今日は天ぷらがないんです、ごめんなさい」ということで、ただの「ざるそば」になった。時間をかけてゆっくりと出てきた蕎麦は、店の雰囲気の効果が加わって美味しかった。
蕎麦屋を出て、近くにある旧碓氷郡役所に行ってみる。明治11年に郡に役所が置かれることになり、ここ安中に群馬県の西部を占める碓氷郡の役所が置かれたのだ。しかし、郡の行政機関としての存在意義は薄く、大正15年に郡役所も廃止された。その時の建物が残っているのは、この碓氷郡役所だけだという。入館は無料だ。管理人の方の親切すぎる案内付きで館内を見て回ると、もう一人のお客も加わった。福島から来たという年配の女性で、相当の歴史好きのようで、この方の知識には管理人も圧倒、私はただ聞き役に徹するしかなかった。安中に由来の新島襄、八重子夫妻の話も伺い、中に展示されていた真田重吉の数々の絵も鑑賞し、この郡役所内だけで充実した時間となった。
郡役所を出て、隣りの安中教会を外から覗いてみる。郡役所の方からは、「新島襄ゆかりの教会だが、幼稚園を併設しているため、予約なしでは見学できない」ときいたが、たしかに門が閉ざされていて、外から眺めるだけとなった。
さらに歩き、新島襄旧宅に行ってみる。道からはずれて奥まったところにあるが、案内看板が出ているので迷わずに行ける。行くと誰もいないが、見学は無料で「ご自由にお入り下さい」と書かれている。しかし、人の留守宅に勝手に上がるようで、どうも落ち着かない。家の中の一部は展示室になっていて、展示を見ながら先ほど聞いた話の再確認をする。先に郡役所で詳しい話を聞いていたので、案内者なしでも十分だった。
新島襄旧宅を出て、再び元の道に戻る。さらに西に向けて歩く。なぜ安中駅と反対の西に向けて歩いているのだろう。無意識に歩いている感じだ。再び国道18号に合流する。この国道がずっと上り勾配になっていることに気付く。この先は碓氷峠を超えて信濃国に至るのだ。このあたりは、「中山道の宿場町」というよりは普通の市街地っぽい。安中ショッピングセンター、ベルシティ―、トライアルマートと、看板がいっぱい並んでいる大型ショッピングセンターがあったので覗いてみる。平屋だが中はかなり広い。地方都市にある地元ショッピングセンターを覗くのは好きである。
目的があって歩いているのではないが、ここまで来ると信越線の次の駅の磯部の方が近そうな気がして、さらに西に進むことにした。しばらくして「東上磯部」なる文字が見えたので、そちらの方に向かうことにする。もう磯部駅も近いのかと思ったが、その気配がなく、碓氷川を渡ると市街地が途切れて不安になる。今日は曇りで気温も猛暑というほどではないが、さすがに疲れてきた。ちょうどいいタイミングでコンビニがあったので、ここで水分補給をする。ついでに地図を立ち読みして、現在地と駅の位置を確認する。間違いなく磯部駅に向かっていて、ここから近いことを知る。なんだ、問題ない。やはり、初めての町を当てずっぽうで歩いても、結構正確にたどり着けるという特技(?)があるようだ。
間もなく磯部の温泉街に入り、すぐに磯部駅だ。温泉街の中にある磯部赤城神社にお詣りし、温泉街をぶらぶら歩きつつ駅に向かう。磯部温泉が「温泉マーク」の発祥の地であることを初めて知った。あの三本湯気が立つ地図上の記号は、磯部温泉が起源なのだそうだ。
磯部駅から信越線で高崎に戻り、帰りは疲れたので新幹線で東京まで戻った。新幹線だと1時間かからない。帰ってから調べてみると、安中駅と磯部駅は隣りの駅だが7kmもある。途中寄道しながら歩いたので実際に歩いたのは7km以上だ。真夏によくもと思うが、今日は意外と涼しかったのだ。
(信越線の電車)
(安中の市街地)
(蕎麦屋「すかや」)
(旧碓氷郡役所)
(安中教会)
(新島襄旧宅)
(碓氷川)
(磯部温泉の入口(磯部駅前))
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