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2018年07月17日20:15

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の備忘的メモ。


●「江ノ島西浦写真館」 (三上延著、光文社文庫)

写真をめぐるミステリー小説である。百年続いた江ノ島の写真館の最後の館主が亡くなって、その遺品を整理するために訪れた孫の桂木繭。残された一見何気ない写真から、封印されていた過去の出来事が露わになってくる。撮影年月が不可解な4枚の写真、繭が封印した学生時代のある事件、江ノ島で土産店を経営するある男の犯した罪、そしてある家族の事情...。江ノ島には頻繁に行っているので、この写真館のモデルとなったのが片野写真館であることはすぐに分かるし、ひとつひとつの記述にも具体的な風景が目に浮かぶ。読んでいてもフィクションである気がしないのである。


●「不明解日本語辞典」 (高橋秀実著、新潮文庫)

普段何気なく使っている言葉も、改めて深く意味を考えると、摩訶不思議な言葉の作用に行き当たる。「辞典」といっても見出し語32語である。「あ」にはじまり、「いま」、「ちょっと」、「ちがう」、「意見」、「リスク」、「社会」、「普通」、「論理的」、「秘密」、「すみません」、「こころ」、「しあわせ」など、確かにきちんと説明しようとすると曖昧であったり、実は本来は違う意味であったり、訳がわからなくなる言葉が多い。日本語の奥深さと曖昧さを認識せざるを得なくなる、ユニークな辞典風(?)エッセイである。


●「東京箱庭鉄道」 (原宏一著、祥伝社文庫)

広告代理店を辞め、アパートの家賃収入で生活している28歳の青年のもとに、見知らぬ老紳士が現れ、突然「鉄道を作ってほしい」といわれ、400億円の資金を託される。冗談か詐欺かと疑うが、どうやら本気らしい。結局受けてしまい、広告代理店時代の同期の女性(28)を引き込み、募集広告で集まった国鉄OB(58)、フリーター(22)、元総合商社OL(24)を含めた5人で「鉄路プランニング」という会社を設立する。やがて立派な企画書が出来上がり、老紳士にプレゼンするが却下。老紳士の「正体」が明らかになっていくうちに、求めているものが見えてきた。新たな企画は受け入れられ、鉄道建設がスタートするが...。 「夢のプロジェクト」の裏には老紳士の過去と、青年との浅からぬ因縁があった。作中に出てくる3つの企画も、実際にあったらいいなと思う。


●「うっかり鉄道」 (能町みね子著、幻冬舎文庫)

ゆるい鉄道紀行本。「他称鉄道マニア」の著者が、女性編集者とともに、鉄道紀行でありながら鉄道車両にはほとんど触れず、興味のない人から見たらどこが面白いのか分からないようなところに妙にこだわり、どうでもいいような隅っこをつついたような旅の記録である。女性2人(著者はすでに戸籍も身体も女性になっているはず)の旅なのに、グルメにもファッションにも触れず、かといって一般的な鉄道マニアの視点とも違う「変な旅」であるが、私が書いている「旅行記」や「散策記」もこれに近いところがあるし、最近の鉄道紀行文の中では面白い方に入る本だ。


●「マイナス50℃の世界」 (米原万里著/山本皓一写真、角川文庫)

猛暑の日が続いているので、涼し気な本を1冊。しかし、マイナス50℃というのは「涼しい」というレベルではないな。ロシア語通訳でエッセイストだった米原さんが、TBSのシベリア横断取材に通訳として同行した際の、世界一の極寒地ヤクート自治共和国(現サハ共和国)での見聞を綴ったものである。人や動物がいる所は、吐く息が凍って常に霧がかかっている状態、氷の下から魚を釣り上げれば数十秒で瞬間冷凍、プラスチックなどの石油製品は粉々になる。「今日はマイナス39度なので暖かい」という、我々からは理解しがたい会話も耳にする。それでも人々は暖かく、豪勢な食事でもてなしてくれる。温暖な地方の常識とはまるで異なる極寒の世界。
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