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2018年07月11日15:44

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岡本隆司『世界史序説』

 岡本隆司『世界史序説 アジア史から一望する』(ちくま新書、2018年)を読了。アジア史の舞台は乾燥と湿潤、草原と農耕、遊牧と定住という多元的な世界が複合して成り立っている。歴史過程は互いの交渉・交流・提携・対立・相克として展開した。
 草原遊牧は軍事に優れ、農耕定住は経済に優越し、その境界では早くから商業・金融が発達して相互を取り結ぶ役目を果たした。それぞれに言語・信仰・習俗が異なりながらも機能を補完し合う関係にあり、政治・経済をそれぞれ多元的な主体が担った。そのため、全体が一体に還元できないし、全体を律する法制も存在しなかった。
 西欧は草原・遊牧の世界を欠いた一元構造で、そこでは権力と民間がひたすら農業生産力を高める努力を行い、上下・君民が近接した。やがて官民一体のシステムが創出され、それを「法の支配」が裏付けた。「ルネサンス」以降の欧米はそこにアジア起源の商業・金融を取り入れて発展変形させ、次々に「革命」を起こしていった。
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