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2018年04月28日21:04

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【音楽】 伊福部昭百年紀 Vol.6

今年の黄金週間は楽しい演奏会から始まった。すでに今回で6回目になる「伊福部昭百年紀演奏会」である。伊福部昭は2014年に生誕百年を迎え、その年は各種演奏会で盛り上がったが、104年目の今年も「百年紀演奏会」は続いているのである。もちろん、第1回から毎回行っている。

◎伊福部昭百年紀Vol.6
 ・伊福部昭: 「怪獣大戦争」組曲
 ・伊福部昭: 「ゴジラVSモスラ」組曲
 ・伊福部昭: 「ゴジラ」のテーマ
 ・伊福部昭: Hommage à A.T
 ・伊福部昭: 「わんぱく王子の大蛇退治」組曲

   水戸博之指揮 オーケストラ・トリプティーク
   会場:北とぴあ さくらホール (14:00開演)

伊福部昭の残した作品は数多いが、まだ埋もれているものもあるようだ。今回の「わんぱく王子の大蛇退治」もそうであろう。それを生で聴けるという貴重な演奏会である。(「王子」にかけて、会場を王子の北とぴあにしたとか...) もちろん、お馴染みの怪獣特撮映画音楽もあり、今日も楽しい演奏会になりそうだ。

オーケストラの女性奏者はカラフルなドレスで、視覚的にも鮮やかである。まずは「怪獣大戦争」組曲から始まる。と思ったら、ピアノとヴァイオリンのソロによる二重奏が始まった。聴いたことがあるような素敵な曲だが、「怪獣大戦争」メインタイトルはこんな始まり方だったかと、もやもやした気分だ。その二重奏が終わると、大音響でバーンと鳴って、「怪獣大戦争」メインタイトルの始まりだ。途中にも「怪獣大戦争マーチ」を含む全7曲が組曲形式で演奏される。爆音! 音圧! 伊福部音楽の醍醐味を十分に味わえる「怪獣大戦争」組曲であった。岩見玲奈さんのティンパニもまた凄まじかった。オーケストラ全楽器に負けないくらいの大音量である。

1曲目が終わり、前回同様に司会の小林淳氏と河内春香氏が登場する。小林さんは、冒頭の二重奏は、「おや?と思った人もいるでしょうが」と、「怪獣大戦争」の中で、哲男の考案した「レディーガード」の契約のために世界教育社(実はX星人)の波川と会った時に、店内で流れていた曲だと解説。そういえばそうだったかも。(ラモ―の「タンブラン」とのことである。)

2曲目は、「ゴジラVSモスラ」組曲である。こちらは「メーサーマーチ」を含む6曲が演奏された。改めて音楽だけを聴いてみると、「ゴジラVSモスラ」の音楽は「ゴジラ対モスラ」のと共通している楽曲も多いことに気付き、それだけにある種の安心感があるといえる。「メーサーマーチ」では盛り上がり、組曲の最後は美しいエンディングで締める。

ここでゲストの宝田明さんが前回に続き登場。司会の小林さんより、「今の演奏はいかがでしたか?」と聞かれ、伊福部昭の講義の思い出を語るなど、質問の答えになっていないので、もしかしたら、ボ○たのかと気になってしまう。84歳だそうだ。

その宝田さんの指揮で、「ゴジラ」のテーマが演奏された。まあ、これは余興だろう。オーケストラが合わせてあげている感じで、指揮者を演じている俳優宝田明と思って見ていればよい。

そのあとに演奏されるのは「Hommage à A.T」となっているが、このようなタイトルの作品が伊福部昭にある訳ではない。「A.T」とは宝田明のことで、宝田さんが出演した映画で、伊福部昭が音楽を付けたものの中から選んで、組曲形式で演奏されるものである。宝田明さんも客席に戻って聴くという。曲目は次のとおりだ。

 ・緯度ゼロ大作戦
 ・暗黒街の顔役 No2
 ・二人の息子 No1
 ・コタンの口笛 No5
 ・忠臣蔵 No38 A-B
 ・ゴジラよりメインタイトル

6曲の組曲だが、実は中の4曲は映画も見ていない。したがって音楽もおそらく初めて聴く。怪獣特撮映画とはまた趣が違って、といっても紛れもない伊福部節で、これも十分に楽しめた。「緯度ゼロ大作戦」は、国籍不明で西洋とも東洋ともつかない雰囲気の音楽が、あの映画のメインタイトルに相応しいのだと、気付いたりした。「忠臣蔵」は「ゴジラ」に似た音楽が出てくるのだな。最後の「ゴジラ」は、宝田さんには悪いが、やはりプロの指揮者が振った方が、演奏がきちんとまとまるということが明白になってしまった。

休憩のあとは、「わんぱく王子の大蛇退治」組曲である。スサノオのヤマタノオロチ退治を題材にした長編アニメーション映画に付けた音楽で、これも映画の方は見たことがないが、解説によれば上映時間86分の映画に63曲もの音楽が付けられたそうで、ほとんどミュージカル・アニメのような感じだともいえるらしい。CDでも一部は聴いていたが、CD化されている組曲にはない楽曲も含めて16曲の組曲だ。この組曲も伊福部音楽の集大成のような組曲で、伊福部昭も、アニメーション用の音楽ということで、分かりやすく正攻法な楽曲を付けたという。今回の演奏会用に楽譜作成を担当した青島佳祐さんによれば、この中の「アマノウズメの踊り」は、全伊福部作品の中でも最高のもので、自身も一生のうちに一度でもこんな曲が書ければいいのにと思っているとのこと。確かに「アマノウズメの踊り」は、日本人の心の奥底にある共通の何かを引き出すような音楽である。(ややオーバーかもしれないが、あながち的外れではないと思う。) 交響曲を1曲聴いたような感じの、濃い「わんぱく王子の大蛇退治」組曲であった。

伊福部作品は、全て楽譜が残っている訳ではない。また、楽譜があっても実際に残っている音源は、楽譜と違うところもあるという。これは「現場合わせ」で修正したものが、音源として残っているからだ。楽譜のないものや楽譜と音源に差異があるものは、いわゆる「耳コピ」で楽譜を起こしたそうで、伊福部音楽を伝え続けていこうという関係者の情熱には頭が下がる。

さて、大いに盛り上がったついでにアンコール演奏。「アマノウズメの踊り」である。やはり、これが今日のハイライトであったのだろう。と思ったらもう1曲。今度は「メーサーマーチ」である。会場の盛り上がりに乗せられたか、続いてもう1曲アンコール、「怪獣大戦争マーチ」を演奏した。今日のメイン3曲ともいえるアンコールで演奏会を終えた。

このあと、司会やゲストの宝田さんもステージに上がり、自由に写真を撮っていいということになったので、1枚だけ撮った。
フォト


ここのところ、「伊福部昭百年紀」から、「宝田明まつり」的になりつつあるが、もともとの「伊福部昭の埋もれた音楽を生オーケストラで再現する」という主旨は続けてほしい。Vol7以降もやるのかどうか不明だが、やれば聴きに行くことになるだろう。

楽しい9連休の初日であった。
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