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2018年03月27日19:00

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[観劇]深海魚/桃園会

 作・深津篤史、演出・森本洋史。白のプロセニアム・アーチに囲われた舞台は、雑居ビルの5階という小劇場・ウイングフィールドの立地(しかもほぼ満員!)と相まって、閉塞感に満ち満ちている。そこで幾人もの男女がひしめき合うようにして繰り広げる、奇妙なドラマ…あるい反・ドラマ。どうやら彼らは、身代金目当ての誘拐犯のグループで、人質を監禁しているらしい…というメインプロットが次第に見えてきたかと思うと、その印象は唐突に始まる学級委員ごっこ、あるいは家族ごっこによって遮られ、覆される。すべては遊戯あるいはゲームなのか、誘拐犯たちが役割に応じた綽名をつけていく冒頭のシーンは、終盤で繰り返され、この本筋さえゲームの一面でしかないと思わせる。演技者/遊戯者たちはしかし常に真剣で、新しいゲームに乗り遅れないよう、地下室めいた部屋のなかで饒舌に語り続ける。反復と自己言及に満ちた一時間半、どこか不穏で緊張感に満ちた芝居だった。
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