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2018年02月05日21:30

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の備忘的メモ。

●「鉄道貨物 再生、そして躍進」 (伊藤直彦著、日本経済新聞出版社)

JR貨物の関西支社長、取締役社長等を経て、現在同社名誉顧問の著者による、タイトル通りの「鉄道貨物の再生と躍進」の話。国鉄時代はストライキが常態化して、そのたびに客が離れていく。現場の風紀も乱れていく。そんな中、国鉄改革の過程では不要論まで出ていた鉄道貨物だったが、民営化の際には旅客会社とは独立した全国一元の会社として発足した。それまでの「国鉄」的経営では客は離れていくばかりだと認識して、さまざまな課題を解決しながら経営改善を行い、安定した事業になっていった軌跡を書いている。「モーダルシフト」も広がり、鉄道貨物はさらに躍進するであろう。


●「数学の魔術師たち」 (木村俊一著、角川文庫)

数学の不思議さ、それゆえの面白さを、カントール、ラマヌジャン、ヒルベルト、ゲーデルや、天才的「数術師」の波乱万丈の物語を交えながら、無限、矛盾、不完全、そしてコンピュータ(計算機数学)の世界へ誘う、数学好きならつい読み耽ってしまう本。すでに知っている話が多いが、数学の奥深さを改めて感じる。ラマヌジャンについての話が多いのもよい。ラマヌジャンは正規の数学教育を受けていないのに、どうしたらあんな結果が導き出せるのか。もはや人智を超越し、神としかいいようがない。


●「女神信仰と日本神話」 (吉田敦彦著、青土社)

日本の女神信仰について考察した本。縄文時代の地母神信仰と土偶との関係、ヌナカハヒメとの結婚によって完成した八千矛の神の国造りの意味、そしてアマテラス大御神に見る日本人の憧憬の3つのテーマについて著している。「古事記」や「日本書記」に書かれた内容を深く読むと、女性の体を象った土偶が破片としてしか発見されない理由や、八千矛の意味するところも明らかになり、まさに五穀豊穣を願う信仰につながるものだという。また、世界の神話のほとんどは、全ての神を統べる最高神は男神であり、しかも悪神や怪物を退治することによってその地位を得るが、アマテラスは、慈悲深い女神であり、生まれるとすぐに天上の神となる。これは日本神話だけの独特のものである。それこそ日本人が持つ理想の母への憧憬であるといえるのだという。


●「番地の謎」 (今尾恵介著、光文社)

住所を書くときに最後に来る番地。そもそも番地とは何か、番地と地番と住居表示の違いは何か、番地はどのように振られているのか等々について、深い考察のもとに書かれた本である。住所も、京都や北海道など独特の表し方をする自治体もあり、このようなテーマは興味が尽きない。また、著者の今尾氏は、昭和37年に施行された「住居表示法」にはかなり否定的である。これは私も共感する。生活様式に合わせて形成された町が、「住居表示法」によって、道路や河川を境に「○○×丁目」という単位で新たな区切りが作られ、由緒ある町は消えた。地図や地名の権威ともいえる今尾氏による、濃い内容の本である。


●「巷の美食家」 (開高健著、ハルキ文庫)

久しぶりに開高健の「新刊」が出たので購入。世界中の食を味わい尽くした著者が綴る、食にまつわるエッセイ集。大昔に読んだ内容もかなり含まれるが、改めて読んでも面白い。かなり際どい食べ物や、こんなものまで食うのかというような、普通の人は一生口にすることはないだろうなという料理まで体験していて、いわゆるグルメ・エッセイとは次元の違う内容である。東京にいれば、世界各国の料理が味わえるように思えるが、現地でなければ味わえないものというのは、今でもあるのだと思う。(とはいいつつ、ゲテモノ料理を積極的に食いたいとは思わないが...)


●「広辞苑をつくるひと」 (三浦しをん著、岩波書店)

「広辞苑」第七版を買ったら、おまけで付いてきた文庫サイズの非売品の本。しかし、内容は濃くて面白い。「広辞苑」に限らず、辞書を作るのは、多くの専門家による高度な仕事と、何よりも辞書作りにかける情熱が必要である。膨大な見出し語の語釈を検討する国立国語研究所の研究者たち、文字作りを支える大日本印刷の活字作り、豊富なイラストを描くイラストレータと、それを学術的に支える古生物学者、函作りにかける加藤製函所の職人たち、きれいな本に最終的に仕上げる牧製本印刷の面々、これらのどれが欠けても「広辞苑」は出来ないのだ。
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