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2017年10月30日21:09

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J.G.バラード短編全集4 下り坂カーレースに見立てたジョン・フィッツジェラルド・ケネディ暗殺事件

 表題作含め、かなり前衛的なコンデンス・ノベルが含まれ、前の3巻にもまして手ごわい短編集第4巻。個人的ベストには本書中最大の頁数である「最終都市」を挙げたい。脱工業化を成し遂げたエコで理性的なアルカディアをグライダーで脱走し、廃棄されたメガロポリスで20世紀の夢(悪夢)を再興しようとする主人公…逆『闇の奥』あるいは近未来版『あらし』とでもいうべき屈折したアンチ・ユートピア小説。
 人形に恋する男の話は珍しくもないが、これがバラード流「インナー・スペース」に取り込まれると、独り相撲がここまでドラマチックな愛憎劇に発展してしまうという「微笑」も甲乙つけがたい。

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