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2017年08月26日09:41

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ジョン・アーヴィング著・小竹由美子訳「神秘大通り上」を読んで



照る日曇る日第986回

待望のアーヴィングの最新刊である。
だからして、このくそ暑いさなかにも、これを読まずにいらりょうか。

昨今は大きい物語というのんがなぜか不人気で、小さな世界の小さな物語をちまちま顕微鏡的視野でミクロに描くのが小説に限らず芸術全体で主流になっているような気がするが、アーヴィングの小説ってだいたい「大説」。
多種多様な登場人物をどんどん造形して全世界の各地に放りだし、奇想天外な事件が続発して重要人物が、あっというまに死んでしまったりする。
なんか曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」を歌舞伎で見物しているときのような気分になります。

え、ならないって? そか、それなら物の喩が悪いんだろうな。仕方ないな。

んで、今回の物語はというと、知恵遅れだけど人の心を読み取ってしまう超能力の少女(妹)と、彼でなければその妹の難解な言葉を翻訳できない我らが主人公の少年(兄)が、メキシコのスラムを出発点に大活躍するという仕掛けです。

他にも娼婦にしてイエズス会の掃除婦の母親とか、長じて作家になった主人公とセクスしちゃう美人母娘とか、黒い聖母とか、異性装両性具有者などの怪しい謎の登場人物がてんこもりでごまんと蠢いているぞ。

さあ、これから大小説家のアーヴィング選手に、いったい世界中のどこへ、どのように連れ回されるのか、楽しみ、楽しみ。


    誰一人見る者もなく散り果てし月下美人のひともとの花 蝶人


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