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2017年06月23日22:51

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

ここのところ帰りが遅い日が続いているが、往復の通勤電車内は貴重な読書時間。
という訳で、最近読んだ本の話。


●「発酵」 (小泉武夫著、中公新書)

酒、チーズ、納豆などの食品や、医薬品、抗生物質、等々、我々の生活のあらゆるところに発酵の作用は利用されている。この本は、地球上に微生物が現れたところからはじめ、発酵技術の進歩や、カビ、酵母、細菌といった発酵の「主役」たちについて詳述し、現在の発酵工業を広く紹介している。発酵というのは、かなり広い概念であり、あれもこれも発酵なのかと驚くことも多い。発酵とは、そもそも微生物が生きるための代謝の過程で排出されたものであり、いわば微生物の排泄物を人間は有り難がって利用しているのである。


●「滝山コミューン一九七四」 (原武史著、講談社文庫)

内容は知っていた本だが、改めてきちんと読んでみた。著者の原氏とはほぼ同年代であり、私も東京都郊外に出来た、駅から遠いマンモス団地に移り住み、生徒のほとんどが団地住民という小学校に通っていたのだが、この本には私の小学校と同じような話ばかりが出てくる。たしかにクラスを班分けして班ごとに競わせていた。滝山七小の「ボロ班」に相当するのは、私の学校では「奴隷班」などとひどい言い方をしていたなと思いだす。教科書のやり方と違う算数の授業の進め方、生徒会長、副会長、書記の「選挙」の盛り上がり、「悪いこと」をした人を糾弾する反省会...。 こちらも閉じた世界の「鶴川コミューン」だったのかもしれないと、そんな思いが重なる本である。


●「研究不正」 (黒木登志夫著、中公新書)

科学の分野においては、「誠実で責任ある研究」が求められる。意義、客観性、透明性、再現性、公平性、そして尊厳を常に意識していなければならない。しかし、これらに反する「研究不正」、すなわち、捏造、改竄、盗用の事例があとを断たない。「STAP細胞事件」、「ディオバン事件」など、日本人が絡む研究不正も、残念ながら増えている。一度でも不正を行えば、科学者としての生命が断たれるだけでなく、所属機関や社会からも処罰を受けることになり、多額の賠償責任が生じることもある。なのに、なぜ不正は無くならないのか。多くの事例を挙げながら、どのような不正が行われ、どのような末路に至ったかを説明し、科学のあるべき姿を提言する本である。


●「太陽の科学」 (柴田一成著、NHK出版)

我々地球人にとって非常に身近な星、というより、その存在がなければ生命が存続し得ないという星が太陽である。そもそも太陽はどのような構造の星で、地球にどのような影響を与えているのか、フレアと磁気嵐の関係、黒点と地球上の気候の関係、さらに、この「爆発星」が宇宙では普遍的に存在すること、そして地球外生命の存在の可能性など、太陽にまつまる様々な話を述べた、とても面白い本である。あまりにも身近すぎて、未解決の問題が多々あることなども思いもよらなかったが、宇宙のことを知るにはまず太陽のことを研究しなければならないと悟ったという、太陽研究第一人者による著書である。


●「バナッハ=タルスキの逆説」 (レナード・M・ワプナー著/佐藤かおり+佐藤宏樹訳、青土社)

バナッハ=タルスキの逆説とは、「球を有限個の部分に分割し、それら組み替えることで元の球と同じ半径の球を2つ作ることができる」という定理である。この、直観に著しく反した定理は、究極の数学パラドクスと言われている。すなわち、「豆と太陽は同じ大きさである」ことも証明できるのである。この厄介な定理の証明には選択公理を使う。バナッハとタルスキは、「この研究に対する選択公理の果たす役割は注目するに値する」と述べているが、選択公理の肯定か否定かは判断しがたい。この本は、バナッハ=タルスキの逆説に関する歴史から証明までを分かりやすく(?)解説したものである。突き詰めようとすればするほど訳が分からなくなってくるのが、数学の魅力(?)でもある。
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