mixiユーザー(id:6806513)

2017年06月04日15:09

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中山可穂「ゼロ・アワー」

タンゴとラテンアメリカの内戦と弾圧を背景に、復讐に生きる人々の物語。
この人の小説でつまらないものはない。面白い。

読みごたえのある物語だが、こういう復讐劇でいつも解せないことは、「復讐された相手の復讐がまた起きるだだろう、正義は主体を変えれば、簡単に変わるだろう」ということ、「巻き添えになる人々」のことを一顧だにしない」ことだ。むろん、それを言っちゃおしまいなのだが。

死体が転がる物語に、ヒューマニティや「やむにやまれぬ」気持ちを持ち込むことに、リアリティを感じない。主人公に100%共感出来ないと、いちいち「おいおい」と言いたくなる(笑)。

こういう「エンタテイメント」作品は、佐藤正午流に言えば、「あらすじ」だけがあり、「小説」ではないのかもしれない。

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