昨日に続き、今日も夏本番が近いような暑い一日だったが、こんな日には思い切り涼しい音楽を聴くのもよい。そんな訳で今日もコンサートに行った。しかし、涼しいを通り越して極寒だ。何しろ「南極」だ。東京都交響楽団の定期演奏会である。
今日のプログラムは次のとおりである。
・E.エルガー:ヴァイオリン協奏曲
・R.ヴォーン=ウィリアムズ:交響曲第7番「南極交響曲」
指揮:マーティン・ブラビンズ/ヴァイオリン:三浦文彰/ソプラノ:半田美和子
女声合唱:新国立劇場合唱団
会場:東京芸術劇場 (14:00開演)
ブラビンズの指揮する英国音楽だ。期待していい。1曲目からいきなり大曲だ。演奏時間が約50分に及ぶ、エルガーのヴァイオリン協奏曲である。ブラビンズ氏と若い三浦さんがステージに上がり演奏が始まるや、圧倒されてしまった。まだ若い三浦さんだが、あまりにも素晴らし過ぎる。もちろんオーケストラも素晴らしく、この内容の濃い協奏曲が、まさに圧巻の名演であった。
三浦さんの演奏を生で聴くのは初めてだが、こんなにすごいとは思わなかった。演奏が終わったあと、会場のあちこちからブラヴォ!の声があがり、盛大な拍手が鳴り止まなかったのも当然であろう。そういえば、冒頭のオーケストラだけで演奏される提示部で、三浦さんがいっしょに弾いているような箇所があったが、そういう楽譜になっているのだろうか。
1曲目ですでにお腹いっぱいだが、休憩のあとは、これまた大曲の「南極交響曲」である。映画「南極のスコット」に付した音楽を交響曲に再編したもので、RVWの交響曲の中では一番好きである。女声合唱団に、オルガンとソプラノも加わる。ソプラノの半田美和子さんはオルガン横のバルコニーに現れた。演奏が始まり、その半田さんがヴォカリーズを歌い始めると、ぞくっと寒気がして鳥肌がたった。まさかと思ったが、自分でもびっくりだ。本当に一気に体感温度が下がった気がした。ホールが南極になってしまったのだ。いよいよ南極探検の始まりだ。半田さんは第1楽章が終わると奥に姿を消してしまった。
物語に沿ってさらに曲が進む。第3楽章でようやくオルガンが登場し、大自然の脅威に直面した探検隊の心理を描く。最後は衰弱した隊員が、仲間の足手まといにならないようにと自らテントを出て吹雪の中に消えていくのだが、ここで再び半田さんのヴォカリーズ。今度は姿は見せず、奥の方から聞こえてくる。女声合唱も加わって、静かに曲を終える。これも素晴らしい演奏だった。この曲を聴いて、ぞくっとしたのは初めてだ。半田さんの透明感ある声が実に見事であったということだ。
今日は本当に素晴らしい演奏会だった。今年これまで行った演奏会の中でも、個人的にはベストかもしれない。指揮者もオーケストラもヴァイオリン独奏もソプラノも合唱団も、全てが素晴らしく、しかも最高の形でまとまっていた。
会場を出ると、いっきに南極から東京に戻り、やはり暑かった。
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