mixiユーザー(id:21379232)

2017年04月25日19:12

141 view

遠藤遼『ユリア・カエサルの決断 1』

 遠藤遼『ユリア・カエサルの決断 1 ガリア戦記』(オーバーラップ文庫、2017年)を読了。共和政末期の古代ローマを題材にした歴史ファンタジー。ローマ好きの高校生である糸原聖也が月の女神によって異世界の共和政ローマへと転送され、その世界では美少女であるカエサルの偉業を助ける。
 作中のローマでは女性と子供の地位が割りと高く、カエサルの他にもクラッススやキケロ、カティリナが少女になっているが、小カトーは史実の通り男性として登場する。ファンタジーであるためにドラゴンや魔法使いがおり、聖也のような異世界人も魔法が使える。異世界人は本人がいた世界と同じように歴史が進むよう偉人を支えることが女神から求められるが、聖也の他にクラッススとキケロにも異世界人の相棒がおり、聖也たちはカエサルたちが非業の死を遂げぬよう行動する。
 ローマ史に対する本作の認識は、塩野史観に依拠していると思われ、カエサルの路線のみが正しくてローマは寛容な文明国とされている。最後のオチは個人的ににやりとさせられ、伏線も冒頭に張られているが、全体的に物語の展開には荒削りな強引さがあった。アニメイトで本作を買うと、掌編「執政官キケロのある日の日記」の載ったペーパーが付いてくる。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する