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2017年03月17日21:45

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長田浩昭『同朋会運動が見過ごしたもの』

 長田浩昭『同朋会運動が見過ごしたもの 真宗大谷派における「下寺問題」』(北陸聞法道場、2014年)を読了。民衆を全て必ず寺院の檀家にさせる江戸時代の寺檀制度には民衆支配の側面もあった。民衆の支配に関与した寺社身分にはそうするための権威が求められた。
 寺社身分の権威を際立たせる存在として真宗大谷派では下寺が設けられた。下寺に居住する僧侶は寺社身分に当たらず、本坊に隷属してその経営に参加してのみ生活を維持でき、婚姻や法務で差別された。敗戦後における民主化のどさくさに制度だけは無くされたが、有力寺院が下寺を抱える実態は残されて放置された。
 教団の近代化や制度改革に取り組んだ同朋会運動も、下寺問題に苦しむ声は聞こうともせず、口を塞いでずっと触れないようにしてきた。大谷派の僧侶は暗黙の下で身分制の存在を認め、日々の生活を送っている。僧侶や寺の問題が積み残されたままであることを問うキーポイントして下寺問題はある。
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