昨日から体調が悪く、なんとなくダルいという状態は回復したものの、左足が原因不明の腫れで歩くと痛い。こんな日は自宅で休養しているのが正解だが、まあ大丈夫だろうと、またコンサートに行ってしまった。初めて聴くアマチュア弦楽オーケストラのアンサンブル・フランの演奏会だ。
今日のプログラムは次のとおりである。
・ダグ・ヴィレーン: 弦楽のためのセレナーデ
・ウーノ・クラミ: ピアノ協奏曲第2番
・エドワード・エルガー: 弦楽のためのセレナーデ
・ベンジャミン・ブリテン: シンプル・シンフォニー
指揮:新田ユリ/ ピアノ:秋場敬浩
会場:第一生命ホール (14:00開演)
このプログラムを見たら、無理してでも行きたくなるのは分かってもらえるだろうか。いつも倍の時間をかけて最寄駅まで歩き、ゆっくりと電車に乗る。足を引きずっているように見えたのか、電車では席を譲られた。新宿での大江戸線の乗り換えはエスカレータに乗る距離が長い。勝どき駅からホールまでも、いつも以上に遠く感じた。
しかし、演奏会が始まると、やはり行ってよかったと思うのである。いずれも生で聴くのは初めてだし、クラミのピアノ協奏曲第2番は録音でも聴いたことがない全くの初聴きだ。
弦楽だけのオーケストラなので、見た目はこぢんまりとした感じだが、やはり40年のキャリアがある団体だ。演奏は素晴らしい。
前半は北欧作曲家の作品が演奏される。ヴィレーンの弦楽セレナーデは実に愉しい曲だ。明るく軽快な曲の中に、やはりヴィレーンの色が出ていて、最初にこれを聴いたことで、足の痛みも忘れて(座っている分には何ともない)、音楽に集中して楽しめた。第4楽章は、どうしても「ふしぎなポケット」を思い出してしまう。子供の頃、ポケットの中にビスケットを入れて叩いて粉々にしてお母さんに怒られた、なんて経験のある人は多いはずだ。もちろんヴィレーンのこの曲は直接関係ないのだが、演奏する方も楽しそうな表情で弾いているのが印象的だった。
続いては、初めて聴くウーノ・クラミのピアノ協奏曲第2番だ。クラミはシベリウスの次の世代のフィンランドの作曲家だが、日本での知名度はいまひとつだろうか。私も数枚のCDを持っているに過ぎない。そのクラミの未聴作品を生で聴けるとはうれしい。指揮者やオケのメンバーより頭一つ背が高い秋場さんが、鮮やかなブルーのシャツを着て登場。音合わせが終わり演奏が始まるや、この曲に完全に引き込まれた・弦楽の序奏を経て、いきなりピアノ独奏による長いカデンツァになるが、これが素敵であった。第2楽章は美しさ極まれりという感じだし、第3楽章も独特の雰囲気があって面白い。秋場さんのピアノで聴くと何でもないように思えてしまうが、実は演奏するには結構難しい曲らしい。それゆえ演奏頻度も少ないが、録音もあるようなので、入手出来るCDがあればもう一度聴いてみたい。
休憩のあとは、英国の作曲家2人の作品だ。エルガーの弦楽セレナーデは、聴いていて心地よい曲で、素朴で美しい曲だと思うが、それもそのはず、エルガーが愛妻に結婚3周年の記念に贈った曲なのである。管楽器も打楽器もなく弦楽器だけ演奏されるように作られた曲というのは、そういうのにも合っていると思う。改めて聴いて、これは良い曲だなと思った。
最後はブリテンのシンプル・シンフォニーだ。シンプルとあるように、弦楽オーケストラだけで演奏され、4楽章合わせても15分位の曲だが、これがまた良いのである。つい先日、ブリテン自作自演のCDを買って初めて聴いたのだが、まさかこんなにすぐに生で聴くことが出来たとは。第1楽章は力強く、第2楽章ピチカートで楽しく、第3楽章は美しく、第4楽章は快活に、と各楽章の違いをじっくりと聴き比べて、これも最後まで楽しめた。
全てのプログラムが終わった後、指揮者の新田さんが挨拶。40年続いたオケの記念演奏会であること、新田さんが関わるようになったのは25年前からでこちらも節目の年であること、その25年前から変わらないメンバーが多いこと、など話された。
このあとは、アンコール演奏だ。最後も英国で締め、ディーリアスの「2つの水彩画」という、これまたいい曲を聴かせてくれた。
やはり行ってよかったと思える演奏会であった。
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