mixiユーザー(id:4550802)

2017年02月18日09:19

97 view

幕が上がる/平田オリザ

 演劇部部長兼演出の女子高生を主人公にした、青春小説でもあり、演劇論でもあり、作中作である「銀河鉄道の夜」論でもあるという、短い中に物凄い内容の詰まった小説。進路や恋愛、家庭などありがちな高校生の悩みはあるにはあっても、それはあくまでも物語外でそれぞれで処理して、雑念(というのも違うと思うが)抜きに演劇に向き合う高校生たちのひたむきさに素直に感動するもよし、稽古から演者のマネジメントまで演劇を一から作り上げるそのプロセスを描くディティールの妙に感心するもよし。宮沢賢治を始め、演劇外含むさまざまなテキストが、主人公のフィルターを通して演劇の解釈に取り入れられていくプロセスも、劇作家の思考をトレスしている感あって興味深い。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する