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2017年02月10日06:34

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節分の風物詩〜恵方巻狂想曲戦線に異状あり(Food104メルマガより転載)

今週のFood104メルマガに書いた恵方巻記事です。
来週は恵方巻はじめたびたび話題になる食品の廃棄問題にふれたいと思います。

『vol.22 節分の風物詩〜恵方巻狂想曲戦線に異状あり』
 前回は最低保証店、マンセーなどのコンビニ問題を象徴する用語
を解説しました。今回のテーマは恵方巻ですが、これもコンビニ問
題を象徴する言葉になってきたようです。スーパーや百貨店、そし
てとくにコンビニエンスストアが、とても重要な催事商品として、
拡販する様を、筆者は2008年からブログで「狂想曲」として毎年レ
ポートしてきました。今年は当メルマガにて、この狂想曲に今年起
きた変化にも触れながら解説してみたいと思います。
 大手小売チェーンを中心した努力!?のおかげによって、いまや
すっかり全国区になった節分の恵方巻の食習慣ですが、その起源に
ついては諸説あるようです。江戸時代に関西地方のみの習慣であっ
た(大阪の花街での花魁との花遊びが由来という説も)丸かぶり寿
司は、大正時代には大阪の海苔組合によってプロモーションされた
時期もあったようですが、本格的に全国に拡大するきっかけになっ
たのは、20年ほど前に広島地区のセブンイレブンが、恵方巻と名
づけ、販売を開始したのが有力な説のようです。
 今年あった一番大きな変化は、主要メディアによる恵方巻ノルマ
の実態報道でしょう。これまで大資本になびき、報道を捻じ曲げる
事の多かったマスコミはマスゴミなどと揶揄されてきましたが、一
昨年のセブンイレブンジャパンのブラック企業大賞受賞にはじまり
SNSやインターネット掲示板などでの、裏事情の拡散により世間
一般にコンビニ問題が徐々に知られるようになってきました。今年
に入ってもファミマ従業員の過労死による本社の賠償責任を認める
判決報道や、風邪で欠勤の高校生バイトに罰金を課したセブンイレ
ブン店舗の問題報道などが相次ぎ、NHKだけでなく民放各局も、
大スポンサーのコンビニチェーンとはいえ、問題を報じざるを得な
くなったようです。
 今年は、恵方巻のノルマに高校生バイトも悲鳴、という報道が、
高視聴率のNHKや民放のニュース、ワイドショーなどで相次いで
紹介されました。各局の取材に対し各コンビニ本社は伝家の宝刀と
もいうべき「各加盟店の問題で、本社としてノルマを強要した事実
はない」という紋切り型の横並び回答でした。しかし前回紹介した
通称鳩と呼ばれる店舗指導員により、各加盟店に前年を必ず越える
発注数を半強制に指導している例も多く見られるようです。本社の
上司と加盟店の間に板ばさみで大変なストレスを抱える店舗指導員
の離職率が高いという噂があるのにもうなずけます。
 企業の経済活動なので利潤を追求するのは当然といえますが、日
本企業、とくに流通企業が利益同様、もしくはそれ以上に、売上高
前年比というのを非常に重視する風潮が災いしてか、約20年にわ
たって恵方巻を強化してきたツケがいよいよまわってきた感があり
ます。筆者もコンビニ本社勤務時には半強制の催事商品買取ノルマ
がありましたし、本社社員よりもさらに深刻なのが、店舗指導員や
加盟店の自爆買取による経済負担と、廃棄問題です。ここまでコン
ビニ各社が加盟店との軋轢を起こしてまで、恵方巻やクリスマスケ
ーキなどの催事商品に力を入れるかというと、
・儲かる(通常商品より荒利が良い)
・イベント感の創出
(特売を繰り返すスーパーなどと違い、基本定価販売のコンビニ売
場に賑わいを生み出す効果)
などがありますが、恵方巻当日は製造ベンダーもてんてこまいで、
通常のおにぎりや弁当が製造できなくなり、大幅に商品が絞り込ま
れてしまうのも筆者は疑問に感じます。
 節分の翌日、つまり立春の早朝にコンビニ大手3社の店舗を恵方
巻の売れ残りが値引き販売されていないか、3チェーンで計10店
舗まわってみましたが、大方の予想通り値引き販売している店舗は
どこもありませんでした。この値引未実施と廃棄問題については、
また回を改めて解説したいと思います。
 立春に値引き無しで買うのは悔しいですが、大手3社の恵方巻を
買って食べました。
http://yahoo.jp/box/jmm3Ye
左よりセブン、ファミマ、ローソンの恵方巻です。セブンは手巻き
タイプしか入手できず海苔がパリっとしていますが、ファミマとロ
ーソンのは裏返してみると海苔が割れてシャリが見えています。ベ
ンダーでは機械の調整がまずかったり、中の具材を欲張ると写真の
ように割れが生じます。通常時の海苔巻きなら絶対NGの品質です
が、恵方巻時には許されてしまうのも狂想曲たるゆえんです。
 最後に筆者がここ10年狂想曲と名づけブログでつづってきた、
狂想曲の奏で続けてきた代表例を紹介して締めくくりたいと思いま
す。
 恵方巻狂想曲 第一番『寿司嫌いには恵方スイーツを売れ!』
 http://yahoo.jp/box/Ag0Fx3
 今年のセブンイレブンの節分スイーツ2品。正に鬼に金棒
 恵方巻狂想曲 第二番『左党にも恵方!円柱状なら何でもアリ』
 http://yahoo.jp/box/y04iPJ
 恵方巻狂想曲 第三番『子供に人気のキャラで釣れ!』
 http://yahoo.jp/box/_UBGsy
 ドラえもん恵方には何とどら焼きの皮入り!何という組合せ
 恵方巻狂想曲 第四番『過剰POPで顧客を圧倒せよ!』
 http://yahoo.jp/box/FvMTQw
 VMDの域を超越。外観が暗くなる程のPOP数で本末転倒
 恵方巻狂想曲 第五番『縁起物につき海苔はかなり大袈裟に祈祷』
 http://yahoo.jp/box/mWZBcU
 筆者も携わった某コンビニの恵方巻用海苔の京都清水寺での祈祷
 大型トラック20台に全量の数百万枚を積載し般若心経で祈祷
 こんなにコストをかけるのも催事商品の荒利の高さの成せる業
2月6日時点筆者体重 68.2kg、前回比-0.1kg
足の肉離れはほぼ完治もまだ全力では動けず運動不足気味で停滞
【筆者プロフィール】
矢部 忠継
 昭和47年(1972年)横浜生まれ。京都大学文学部卒業後、リゾー
トホテルチェーン、ファミリーレストランチェーン、外資系会員制
食品卸、コンビニチェーン本部を渡り歩く。原料調達、商品開発、
マーケティング、市場分析等を担当。
 現職はマーケティングリサーチカンパニーにおいて小売・卸・
外食のデータ分析、セミナー講師、レポート執筆を行う。
 趣味は43歳にして免許を取ったバイク、バドミントン、ゴルフと
料理。東京都江東区在住。愛車はボルボV70、ホンダホーネット、
ヤマハシグナスX SR。
※当コンビニレポートコーナー内で述べられているコメントについ
ては、各種データ、筆者の知見に基づき作成されていますが、その
全てが正確性、確実性を保証するものではありませんのでご了承
下さい。
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