1/8(日)、今年2017年初めてのコンサートを聴く為、横浜に出かけた。
静岡時代の知人(現在は神奈川県下に住んでおられる)から、息子さんが所属するオーケストラの演奏会の案内があったのは年末である。
TBSK管弦楽団という名は知らなかった。
手紙によると、アマチュアのオーケストラで、関東の様々な大学や院,団体の人達が2011年に創設したものだとの事。
息子さんは某大学の院の1年生、ヴィオラで創設当初からのメンバーだそうだ。
「TBSK」は「Technical and Broad Sound by Kinds of People」の略だそうで、放送局とは関係ないらしい。
愛称は「てばさき(鶏の手羽先)オケ」だと。
8ヶ月サイクルで定期演奏会を開催していて、今回は第7回。テーマは「フランス」。
前回は「イギリス」だった由。
プログラムによると、「アマオケで扱われる機会の少ない、大編成(*)の名曲を扱う」事をポリシーとし、「アマオケにおける新奇性を追求する」のが団の理念と書いてある。
なかなか大胆で意気軒昂である。
今回のプログラムは、オール･ラヴェルで以下の通り。
・管弦楽のための舞踏詩《ラ･ヴァルス》
・ピアノ協奏曲ト長調
・バレエ音楽《ダフニスとクロエ》
ちなみに前回「イギリス」のプログラムは、
・組曲《惑星》より ホルスト
・メゾソプラノと管弦楽のための連作歌曲集《海の絵》 エルガー
・交響曲第1番変イ長調 エルガー
イギリスの作曲家の曲を集めているが、第1曲目以外、聴いた事がない。
前述の通り、新奇性が発揮されていて、面白い企画だ。
書くのが遅くなったが、演奏会場は横浜みなとみらいホールの大ホール。
前回はミューザ川崎シンフォニーホールだったとの事。
開場 13:30
開演 14:00
私は13:00少し前に会場に着いた。
中に入ると、大ホールの前には、もう相当長い列ができていて、驚いた。
前回,今回共、協奏曲形式の作品が1曲入れられているが、ピアノもメゾソプラノもソリストはプロである。
《ダフニスとクロエ》は元々バレエの為の音楽だが、オーケストラのコンサートでは、大概ラヴェル自身が抜粋した組曲(第1と第2がある)をピックアップするのが普通だ。
しかし、今回の演奏会ではバレエ音楽をそのままフルに演奏していて、演奏時間は通して1時間近い大曲。
ここにも、このオケが新奇性または独自性格を貫こうとする姿勢が見られる。
アマチュアのオーケストラが並べがちなプログラムとは一味も二味も違う。
今年9月には川崎市民オペラとJ･シュトラウス�兇離�ペラ《こうもり》をやるとの事だし、10月には海外公演をウィーンで行う由。
「てばさきオケ」の進化が愉しみだ。
(*)小編成曲については、昨2016年10月、傘下にTBSK室内管弦楽団を設立し、そこで扱う事にしたとある。
ソリスト以外に、指揮とコンマスもプロ。
・指揮 久世武史
・コンサートミストレス 三ツ木摩理
・Pf 山田剛史 (前回 Ms 片野田名帆子)
前回と今回のデータしか私は持っていないので、申し訳ないが、それ以前は知らない。
以下、TBSK管弦楽団のホームページ。
http://tbsk.saloon.jp/index.html
企画面もさる事ながら、演奏も大変に立派なものだった。
3曲とも20世紀に入ってからの曲で、様々に新しい要素が入っている。
リズム(リズムそのものと打楽器類)は実に多様で変化に富むし、和声や金管の演奏法等ジャズを取り込んだ跡もある、オーケストレーションによる色彩のめくるめく様は改めて言わずもがな、そしてウィットとエスプリ。古典派を演奏するのとは訳が違う。
ディアギレフの率いるバレエ･リュスとの関係、20世紀に入ってからの世の慌ただしい変化は、殊に第1次大戦との関係において、理解せねばならない点が多々ある。
こうした複雑な側面を血肉化しなければ、ラヴェルの演奏は一筋縄ではいかないし、聴衆を愉しませる事もできない。
特に《ダフニスとクロエ》は、長丁場を聴衆に緊張感を維持させながら引っ張っていくのは大変な事だ。
勿論、まずは指揮の久世武史の統率力が大きかったのだろうけれども。
これだけ質の高い演奏会が入場料無料というのは、何だか申し訳ない気もしたのだった。
席は全席自由。
私は第6列のセンター左寄り。
ピアノの山田剛史の指もよく見えるいい席に座る事ができたのは、実にラッキーだった。
〈付記〉
アンコールの求めに応えた山田のピアノ独奏は、
組曲《鏡》より〈道化師の朝の歌〉。
これもラヴェルであった事は言う迄もない。
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