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2016年12月20日22:58

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ずっとお城で暮らしてる/シャーリイ・ジャクスン

 6年前に起きた殺人事件の謎を秘めた屋敷、そこに閉じ込めらえるようにして暮らす姉妹…とくれば、最後は館が炎上し、謎は暴かれ…と成るのは定石であり、実際そのようになるのだが、その果てにさらに意外な方向へ突き進んでいくのが、本作のユニークであり、恐ろしいところだ。夢野久作「瓶詰の地獄」にも通じるような開放と閉塞の別さえ既に無意味なような完結した世界に、二人の姉妹は息を潜めて暮らし続ける。陰口、村八分といった程度でしかなかった周囲の村人の、彼女たちへの振る舞いもまた、人ならざるものへの畏怖へと昇華され、彼女たちが本当に彼岸へと行き着いてしまったのだと、恐怖と憧憬を込めて実感する。
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