マルドゥック・アノニマス２／冲方丁

　ウフコックは文字通り傍観者で、クインテットを率いる危険な男「ハンター」のやりたい放題をひたすらに見続ける第２巻。なにがすごいかって、「均一化(イコライズ)」を目指すと嘯くハンターの活躍が、完全に少年漫画の文法にのっとったものであるところだ。友情・努力・勝利！倒した敵を味方につけて、その絆をもって悪徳都市マルドゥックのヒエラルキーを駆け上っていくその様は爽快すぎておぞけが走る。そんな全体未聞のヴィランに対して、鏡写しの親近感さえ覚えてしまうウフコックが、それでもなお敢行しようという対応が、さらなる地獄を呼ぶのだと既にして予告されているのだから、どうにも業が深い・・・。