mixiユーザー(id:6806513)

2016年09月18日12:13

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中村文則「最後の命」

あとがきで中村は書く。

「単純化していく世界の中で、多かれ少なかれ生きにくさを感じている全ての人達に対して、単純な善悪の二元論で細部をすっきりと切り捨てることをしない、つまり文学を愛してくれている全ての人達に対して、書いたつもりではある」

そんなあたりまえのことが、踏みつけられ握りつぶされる、圧倒的な同調圧力で支配される世界に僕らは、いる。

最後に書かれる「希望」は、99%の絶望を了解したうえでの1%の希望だ。
多くの善良な、しかし中村の小説を読む程度にはこの世界に懐疑的な人達は、その1%に意義を見出すかもしれない。

違う。それは、善良な人々が何の苦悩も躊躇いもなく願う幸福、それ自体を願うことが困難な人間がいるのだ、そして彼らもまたあなた方と同じような幸福を願っているのだと、いう叫び、いや呟きだ。
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