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2016年08月05日11:11

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澤田典子『アテネ 最期の輝き』

 澤田典子『アテネ 最期の輝き』(岩波書店、2008年)を読了。カイロネイアの戦い以降、アテネ民主政は力を失ったと見られてきた。しかし、マケドニアはアテネの民主政を手付かずのまま存続させた。
 マケドニアの覇権下に入ったアテネは、対外政策の能動性を喪失したが、それだけに市民たちのエネルギーは内へと向かい、国内の民主政に注がれた。市民たちは民主政へ傾倒し、政治家たちの関心も国兄の問題に収斂していった。民主政は制度が充実し、様々な事業が展開され、市民意識の活性化が図られた。
 ところが、対外政策が政治家たちの対立軸でなくなると、政界における個人的な要因の比重が増した。政治的な次元を離れた個人的な対立がしばしば政界を支配し、政治家たちは個人的感情によって離合集散を繰り返した。それでも、カイロネイアの戦い以降はアテネの民主政が最期の輝きを放った時代であったという見方も出来る。
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