mixiユーザー(id:1280689)

2016年06月12日06:51

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マネーモンスター

 ジョディ・フォスターが久々に手がけた監督作品、きりりと引き締まった堂々たるスリラーでありました。

 「マネーモンスター」、実に面白うございましたぞ。

 株価の変動を面白おかしく予想し、優良銘柄をわかりやすーく紹介する経済TV番組「マネーモンスター」。それがある日スタジオごとハイジャックされる羽目に。犯人は番組のMCに爆弾つきベストを着せて、ある要求を出します。
 「8億ドルの損失を出し、オレの全財産を紙切れにしやがった会社が何をしでかしたのかを公表しろ!」

 爆弾の起爆装置を握りしめ、ひどく興奮した犯人と、突然の事態に怯えながらも彼を刺激しないよう説得に努めるMC。そして番組のオンエアを継続させつつスタッフの安全に配慮し、同時に事件の背景を探り出そうとするディレクター。
 この三者のやりとりが緊迫感を持って描かれる前半は、文句なしの面白さ。
 ありがちなヒューマニズム礼賛に持って行くかと思いきや、それを非情にひっくり返したり、犯人の恋人を登場させて愁嘆場にすると見せかけて、これまたストンと落としてしまうという「外し」の展開が実に愉快で、この脚本、かなり工夫してるなあと感心しました。

 ただ、MCが次第に事態の進行のイニシアチブを取るようになるきっかけが見えにくいのと、犯人の描写の踏み込みが足りないせいで、後半の展開に乱れが生じたのはもったいないです。
 あれ、スタジオの中だけで話を完結させてたら、もっと緊張感が増したと思うんですけどね。

 この作品、スリラーであると同時に「メディアたるもの、全力を尽くして真実に迫るべし」というジャーナリスト魂を高らかに謳いあげた「お仕事映画」になっているのが、また、いいです。
 ジェームズ・ブリッジス監督の傑作「チャイナ・シンドローム」を彷彿とさせるものがありましたよ。懸命の調査報道と爆弾レポートが結局「苦い勝利」に終わるというあたり、本作は「チャイナ・・・」によく似てると思います。

 それにしても、これだけのお話をよく99分の尺の中に収めたもんだなあ。
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