mixiユーザー(id:21379232)

2016年03月18日15:02

621 view

李成市『東アジア文化圏の形成』

 李成市『東アジア文化圏の形成』(山川出版社、2003年)を読了。人類が発生して以来、地球規模の世界は初めから一つであったわけではない。地理上の歴史が一つになって動くのは、大航海時代と言われた十五〜十六世紀以後のことで、それ以前にはそれぞれの地域にそれぞれ独自な世界が存在した。
 中国・朝鮮・ヴェトナム・日本を包含する地域では東アジア文化圏が形成された。この文化圏はコミュニケーションの手段として漢字を共有し、それを媒介にして儒教・律令・漢訳仏教といった中国に起源する文化を受容した。中国文化は中国王朝の政治権力ないし権威に媒介され、伝播・拡延されていった。
 周辺民族は中国から政治的な圧力を継続的に加えられながら、積極的に中国文化を受容し、それを精妙に差異化させ、既存の文化や政治体制を保全した。中国文化の受容には周辺民族の主体的な判断に基づく戦略的な選択があり、周辺諸民族相互間での交流でも変容を加えられた。それゆえ、中国の周辺にある地域でありながらも中国文化を拒絶したところや、一時的に伝播・受容しても定着しなかった地域も広範囲に及んだ。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する